うらやますぃーっ、ジョナサン・キャロルの小説をまだ1冊も読んだことのない人が。だって、すっっごく面白いんだもん。小説を読んで驚きたい人なら、キャロルは必ずやお気に入りの作家になるはずなんですの。というわけで、最新訳『薪の結婚』を紹介いたします。
語り手は金持ちの顧客のために稀覯本を見つける仕事で成功している女性ミランダ。物語は彼女が同窓会に出席し、高校の頃つきあっていた恋人ジェームズがほんの3年前に自動車事故で死んだという知らせを受けるところから滑り出します。ジェームズはいわゆる、ユーミンの名曲「DOWNTOWN BOY」の〈あなた〉タイプの男子だったんですわね。つまり、他人から見れば不良かもしれないけど、ほんとはナイーブで優しくてジェントルマンってタイプ。ミランダは彼と再会したくて(あわよくばまたロマンティックな関係になりたくて)同窓会に出席したもんだから、そりゃあ大変なショックを受けるわけですよ。
ところがその後、ミランダは顧客が開くホームパーティに出て、運命の男と出会っちゃうんです。それは〈四十代で、髪はジョン・ケネディ風のたっぷりした茶色のもつれ毛。素性を知らなくても一目で好きになってしまいそうな、温かく大らかな微笑を浮かべて〉いる美術品バイヤーのヒュー。ヒューはなんとジェームズのことをよく知っていて、彼がどうして自動車事故に遭ったのかをミランダに教えてくれます。パーティに出席した他の人がジェームズを愚かな男扱いする中、彼をかばい「亡くなって残念だ」と言ってくれるヒューにミランダは心惹かれていきます。彼が妻子持ちであるにもかかわらず。で、オフィスまで会いに行っちゃうんですよー。そしたら、ヒューから告白されちゃうんですよー。もう、あとは一気呵成。その日のうちに互いの気持ちに火がついて、あとはボーボー燃えさかるばかり。それに気づいた奥さんも巻き込んで、物語は不倫小説の様相を呈していくんですの。
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