業務を変えるkintoneユーザー事例 第157回
営業から情シスへ転身した水沢氏がハマった沼とその抜け出し方
kintone開発で3つの沼を抜けた その先に見えた自分の新しい強さ
2022年09月27日 10時30分更新
営業職で実績を積みセールスマネージャーとして活躍していた水沢 光幸氏は、原因不明の病で大きな声を出せなくなってしまった。これをきっかけに水沢氏は、営業から情シスへとキャリアチェンジ。前任者が残していったkintone資産の活用を通じて水沢氏が得た答とは何だったのだろうか。
のどの不調から自由に声を出せなくなり、新たなキャリアとして選んだ情シス
「営業から情シスへ 失ったものから始まった挑戦」と題してkintone hive 2022 sendaiに登壇したのは、アトゥンズの水沢 光幸氏だ。高校時代はラグビー部に所属し、全国高等学校ラグビーフットボール大会、いわゆる花園でベスト16入りを果たした経験を持つ。「One for All、All for Oneの精神」が大好きで、アトゥンズに入社してからは営業職でチームワークを活かして活躍していた。
「風邪をひいたかな、なんかおかしいなと思ってからもう2年が経ちます。さまざまな病院に行きましたが、原因はわかりませんでした。声を失ったとき、これまで学んだスキルは一切必要なくなり、これからの自分の人生も描けませんでした」(水沢氏)
チームの力になれないのなら退社すべきかとまで悩んだ。しかし、営業以外でも自分の特性を活かして会社に貢献できるかもしれないとも考えた。体を壊すほどやり尽くし、ひとつのことを徹底的に深掘りするという水沢氏の特性を活かせる場所、それが情シスだった。これが、水沢氏がkintoneと向き合うきっかけとなった。
kintoneの導入自体は2016年、前任者は非IT人材の若い女性だった。勉強家で熱心な職員だったが、結婚を機に退社。宙に浮いたkintoneの管理を、水沢氏が引き継ぐことになった。「よし、これでやっていこう」と思った矢先に、水沢氏は出会ってしまった。
「ようこそ、沼。――話には聞いていたけれど、これが沼かと」(水沢氏)
アトゥンズのkintoneには野良アプリが数多くあり、作った人にしか構造がわからない状態になっていた。これらをイチからではなく、ゼロから分解して理解しなければならない。会社から示されたゴールは、「ぱっとみた時、ブラックボックス化されていない現在情報」。つまり誰が見ても今の経営情報がわかるMQ会計システムをkintoneで作れということだった。
「声をなくして情シスに転向した私に降ってきた、挑戦でした。まず沼を整理し、生きるシステムをつくることがミッションでした」(水沢氏)
構造沼 - 管理者の頭の中にしかないkintone
ひとつめの沼は、構造沼だ。構造が管理者の頭の中にしかなく、仕組みを他の人と共有されていないために生じる沼だ。
「ドアを開けようとするとき、ドアノブが丸いのかレバー式なのか、その構造がわかればドアの開け方、つまりドアの使い方がわかります。同じように、kintoneアプリも構造がわかればその使い方がわかるのではと考えました」(水沢氏)
構造沼を抜け出すために、水沢氏は引き継いだkintoneアプリの構造をかたっぱしから書き出した。その数なんと110。次に引き継ぐ担当者がゼロからではなくイチから理解できるよう、構造図、各アプリの役割、プラグインの役割の3点に注目して整理した。
構造図で全体像がわかると、情報入力のフローとアプリの関係性がわかり、kintoneに愛着が沸いてきた。さらにアプリやプラグインをすべて書き出すことで、全体構造と部分構造を理解。引き継いだ当初は諦めかけていた、アプリの改修やメンテナンスができるようになった。
「こうしてなんとか構造沼を抜け出すことができた私は、次の沼へ移動しました」(水沢氏)
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