ネットワーク分野では
業界シェアが2位だったHP
話を戻すと、ただHPEに関してはむしろAruba NetworksがHPEのネットワーク部門を乗っ取ったような形になっているのがややおもしろい。
もともと、HPEに分離する前から、HPはネットワーク分野でのマーケットシェアをそれなりに獲得していた。下の画像は2014~2015年にかけてのイーサネットスイッチのマーケットシェアをまとめたもので、圧倒的にCISCOが大きなシェアを獲得しているとはいえ、HPも2番手につけている。
ちなみに2014年度におけるNetworking部門の売上は連載549回にあるように26億ドルほど。
上の画像でHPの売上は四半期当たり5億ドル程度で、トータルで20億ドル程度になる。このNetworking部門、ラインナップとしてはスイッチ・ルーター・無線LAN・ネットワーク管理製品が主要な製品であり、乱暴な言い方で言えば有線LAN関連製品の売上が20億超で、無線LAN関連の売上は5~6億ドル程度ということになる。
ただ、基幹のネットワークは引き続き有線LANにしても、その先のアクセス回線が急速にワイヤレス化している状況では、ここに力を入れる必要があった。
下の画像はstatistaによる2012~2019年の無線LANのベンダー別売上をまとめたものだ。
![](/img/2020/02/24/3015311/l/38f862fddb5f5cda.jpg)
昨今ではHuaweiとかもその存在感を増しているが、それでもCISCO、HPE Aruba、Ruckusが御三家で、ここ数年はここにUbiquitiを入れた4社がトップ、としてもいいかもしれない。
画像の出典は、statistaの“Global market share held by enterprise WLAN vendors from 1st quarter 2013 to 3rd quarter 2019”
Arubaを買収する前は業界3位(2013年以降では4位)に落ち込んでいたが、2015年にHPEがArubaを買収したことで、いきなり業界第2位に躍り出ているのがわかる。要するに手薄だった無線LANのアクセス回線をArubaの製品およびサービスで強化した形だ。
さて、問題はここからだ。Aruba Networksはアクセスポイントやメッシュネットワーク向け製品がメインではあるのだが、当然これらのアクセスポイントなどをまとめて収納できるスイッチもラインナップしている。
買収される直前だと、S3500という製品がトップエンドになるが、これは1台で最大48ポートのギガビットイーサをPoE機能付きで提供でき、上位スイッチとはGbE×4または10GBASE-Xで接続できるというL2/L3スイッチである。
一方のHPはFlexFabricと呼ばれるSDNベースのスイッチを多数ラインナップしていた。2014年にはハイエンドのFlexFabric 12900シリーズも発表されている。
![](/img/blank.gif)
この連載の記事
-
第775回
PC
安定した転送速度を確保できたSCSI 消え去ったI/F史 -
第774回
PC
日本の半導体メーカーが開発協力に名乗りを上げた次世代Esperanto ET-SoC AIプロセッサーの昨今 -
第773回
PC
Sound Blasterが普及に大きく貢献したGame Port 消え去ったI/F史 -
第772回
PC
スーパーコンピューターの系譜 本格稼働で大きく性能を伸ばしたAuroraだが世界一には届かなかった -
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ - この連載の一覧へ