消費電力はスゴいのに騒音控えめ
最後にお約束の消費電力、GPU温度、騒音の3つをチェックしておこう。消費電力は「Watt Checker」でS.T.A.L.K.E.R.テスト時に測定、GPU温度はベンチ期間中「HWMonitor Pro」で温度を監視させ、最高値をチェックしている。また、騒音計「DS013」をボードの前方(ケース前面側)約20cmの位置に配置し、S.T.A.L.K.E.R.テストの終盤での騒音を測定した。
なお、今回テスト機はバラック組みであるため、実際の温度や音量は実際の運用時とは異なる可能性があることをお断りしておく。
消費電力は予想通りHD 6990の消費電力を軽く超越、430W近辺まで到達した。だが、GTX 580のデュアル構成である以上、これは予想の範囲内。むしろ「このクラスのGPUを選ぶなら、この程度でゴチャゴチャ言うのは大間違いだ」と言わんばかりの清々しい使いっぷり。ただ、HD 6990のアイドル時消費電力の低さを見ると、もう少し省電力設計を頑張ってもいいんじゃないの……という気もする。
GPU温度と騒音についてはGTX 590とHD 6990の設計スタンスを見透かせるようだ。HD 6990はGPU温度を低く抑えるべくファンを高速回転させ、結果として60デシベル超えのノイズをまき散らし、反面GTX 590はファンノイズが耳につきにくい範囲での冷却力で勝負しているようだ。
しかしGTX 580単騎よりも騒音・GPU温度が低いというのは直感的にあり得ない話だが、テストの範囲ではGTX 590のファンノイズの音程は低く、負荷をかけるに従い、ゆっくりとトーンが上がっていく。GTX 580はトーンが高く、割と速い段階で爆音になる。数値の上では約49デシベル対約52デシベルと差が開いているが、決してGTX 590が静音ということではない。うるさいが目立ちにくいノイズになっているのだ。このあたり相当NVIDIAは苦労していると思われる。
あらゆるモノを犠牲にしてでもfpsが欲しい……そんな人向け
GTX 590のテストを通じて感じたことは、“予想通りのハイスペック、だがパンチに欠ける”ということだった。HD 6990の後から出ただけあって、性能はHD 6990をしっかり超えてきたし、ノイズを抑える設計もそこそこの効果を出している。だが順当すぎて(そして差も小さくて)“さすが俺たちのNVIDIA!”と唸らせてくれるオーラがないことも事実だ。
1fpsでも速くしたいと考えている人にはうってつけのグラフィックボードだが、東日本での計画停電のことを考えると、今使っていいものかどうか気になってしまうかもしれない。むしろ「ゲーマーなら照明暖房その他一切合切の電力をGTX 590に注ぎ込む」くらいの覚悟ができる人のための製品なのかもしれない。発売直前の「Crysis2」、そして次のビッグタイトル「Battlefield3」等を最高の画質で楽しむためには、いかなる出費も辞さないというエンスー向けの1枚であることは確かだ。
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