かつて筆者がオーディオの泥沼にハマっていた頃は、「良いオーディオ装置」と「悪いオーディオ装置」というモノが、ある程度は区別できた。しかし昨今では、オーディオメーカーも度重なる技術革新と経験を蓄積しており、単に”良い/悪い”で商品の価値を判定することは妥当性を欠くものとなっている。
デジタル・オーディオの世界でも収集癖のある筆者は、年に10個近いモバイルオーディオ用ヘッドホンを購入するのだが、”良い・悪い”という第一印象を持つことは極めて少ない。その商品を買うか買わないかという判定は、デザインや音楽の再現性や表現力の感性を”好きか嫌いか”という点に尽きる。
また、衝動買いした当初は今ひとつだったが、しばらく使用しているうちに気に入ってくるという商品も多い。競争と技術革新により、廉価版でもそれなりのサウンドを楽しませてくれる最近のヘッドホンは、人柱的なリスクの少ない衝動買いアイテムの最右翼なのだ。
インナーイヤー・ヘッドホン「Bose IE2 audio headphones」
MacBook Air(関連記事)を秋葉原で衝動買いした際に、同じショップで販売されていたBoseのインナーイヤー・ヘッドホン「Bose IE2 audio headphones」を衝動買いした。筆者は長らくBoseのノイズリダクション・ヘッドホンを愛用しているのだが、Bose IE2の前モデル「Bose in-ear headphones」は多少こもったサウンドがまったく好きになれず、早々に手放してしまった経験がある。
現在の筆者の愛用製品は、価格性能比ダントツのビクター・JVC製密閉型インナーイヤー・ヘッドホン「Victor HA-FXC71-B」と、飛行機内専用のソニー製デジタルノイズキャンセリング・ヘッドホン「MDR-NC300D」、デジタルオーディオプレイヤー専用として、(いまだに捨てることのできない)レガシーだが音質抜群なSHURE製ヘッドホン「SE530」だ。合わせて3つを同時並行的に使っている。
Victor HA-FXC71-Bは耳へのフィット感が抜群で、ノイズ・リダクション機能がなくても外部音の遮音性は抜群だ。遠距離出張時の電車内で録画したデジタルビデオなどを楽しむ時には絶対に手放せない存在になっている。
SE530は、いまだに筆者のメイン・モバイルオーディオ機器であるBang & Olufsenの「BeoSound 2」とケンウッド「Media Keg」(HD60GD9)専用に使っている。最も実用度が高く、同時に高品質な組み合わせだ。今回、衝動買いしたBose IE2は、よりカジュアルにiPod nano/shuffleで音楽を楽しむために購入した。価格的にもバランスの取れたコンビネーションだ。MDR-NC300Dについては、第107回「乗り物が楽しくなる、ソニーのノイズキャンセリング・ヘッドホン」を参照してほしい。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
(次ページへ続く)
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