Googleがケータイを出した? といったふうに、「Android」はマスメディアで大きな話題を呼んできたが、多くの人はまだそれがどのようなものか実像をよく知らないだろう。日本でもようやく端末が発表された今、改めてその詳細について解説していくのがこの連載だ。
Androidは携帯の製品そのものではない
あくまでソフトウェアのプラットフォーム
NTTドコモから国内初の搭載端末がリリースされ(関連記事)、大きな話題となっている「Android」。しかし、AndroidはiPhoneのように商品名そのものを指す言葉ではない。
正しく言うならば、Androidとは携帯電話用に開発されたプラットフォームである。携帯電話でいうプラットフォームとは、簡単にいうと、オペレーティングシステムとその上で動作するソフトウェアなどを組み合わせて、携帯電話を作るときの土台とするものだ。
Androidは携帯電話の中でも、「スマートフォン」と呼ばれるカテゴリの携帯電話を作ることに主眼が置かれている。スマートフォンの定義はいろいろだが、一般に情報が公開されたオペレーティングシステムが動作しており、アプリケーションの開発やインストールが可能なものをいう。
プラットフォームを用いることで
携帯の開発コストが下げられる
では、なぜプラットフォームであるAndroidに注目が集まっているのだろうか。それを考えるには、まず携帯電話メーカーがプラットフォームを使う理由を考えよう。
最近の携帯電話は機能が著しく向上するとともに、多数の機種を用意する必要が生じるようになった。こうなるとソフトウェアを毎回ゼロから作っていたのでは、大きな負担となってしまう。しかし、既存の共通プラットフォームを使うと、必要なところのみを作ればいいため、開発コストを下げることができる。
また携帯キャリアが、メーカーに対して共通の仕様を要求することがある。このような場合でも、キャリアの要求を満たした共通プラットフォームを作り、これをメーカー間で共有することで共通仕様を満たした製品を作ることが可能になる。
携帯電話向けの主要な共通プラットフォーム | |||
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プラットフォーム | 中心的な企業 | 備考 | |
Symbian OS | Symbian Foundation、ノキア | 富士通などもドコモ向け端末で利用している | |
LiMo | モトローラ、NEC、パナソニック、サムスン電子、Vodafone、NTTドコモなど | Linuxベースの共通プラットフォームの一大勢力 | |
KCP+ | KDDI、クアルコム、東芝、旧三洋電機 | クアルコムのBREWをベースにau向け端末に必要な機能を共通化している | |
Windows Mobile | マイクロソフト | ||
Android | Googleなど | キャリア、端末メーカー、半導体メーカーなどが多数参加 |
またスマートフォンのようにユーザーが開発したソフトウェアを搭載できる携帯電話は、プラットフォームに何を採用しているのかで動作するソフトウェアが違ってくる。このため広く普及するほうが有利になる。その結果、現在はプラットフォーム間での競争が始まっている。そこにインターネットの世界で大きな存在であるGoogleが参入してくれば話題になるのも当然だろう。
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