野村総合研究所(NRI)は26日、2014年度までのワイヤレスブロードバンドの進展とそのインパクトを予測する「ITロードマップ」をまとめ、公開した。
基本的に各社のロードマップをまとめ、総合したという印象だが、通信の高速化の普及と、国内のコンテンツ・サービス市場での海外プレーヤーの躍進、そしてハードおよびライフスタイルの変化の要点が指摘されている。参考になりそうな資料だ。
2011年までにインフラが整い、2012年から本格的な普及へ
NRIでは、ワイヤレスブロードバンドのロードマップを「黎明期」(2009~2011年度)と普及期(2012年度以降)に分け、以下のような展開を考えている。
まず黎明期では、UQコミュニケーションズやウィルコムによるモバイルWiMAXサービスが開始。さらにNTTドコモもLTEなどで参入する予定。都市部など人口密集地を中心に、下りだけでなく、上りの通信速度も大幅に向上する。また、PCだけでなくゲーム機や電子書籍端末のネットワーク接続も、無線LAN、3G携帯電話にくわえ、これらの規格への対応が進む。
アプリケーション/サービスレベルでは、Google、Blackberry、マイクロソフトなどが、世界中の企業や個人が作ったアプリケーションやコンテンツを携帯電話に配信するサービスを開始(AndroidMarketなど)。ヒューレット・パッカード(HP)やサムスンなど海外のメーカーやコンテンツベンダーは「ng Connect Program」を結成し、次世代通信機能を有したさまざまな機器へのアプリケーションやコンテンツ配信を行なうための検討を開始している。
普及期となる2012年以降は、UQコミュニケーションズとウィルコムのワイヤレスブロードバンドサービスの人口カバー率が90%を超える。NTTドコモに続いてauやソフトバンク・モバイル、イー・モバイルも下り100Mbpsの高速通信を実現するLTEを利用したサービスを開始する。家電や車載端末、カメラやデジタルサイネージ(電子看板)にもワイヤレスブロードバンド機能が載り、インターネットの利用シーンが増大する。
結果としてハイビジョン映像のストリーミング配信や、上り通信速度の向上によるモバイル環境でのビデオアップロードも増える。同社では一例として「子供の運動会の映像をハイビジョン撮影しつつ遠隔地の祖父母にライブ配信し、大画面テレビを使って臨場感あふれる映像を楽しむといったシーンも実現する」としている。
ビジネスに関しては、移動型の店舗であっても高速、大量のデータ送受信が可能となり、店舗の設置が難しい地域や都市の顧客との接点が増えていくとしている。