GeForce RTX 3090 TiやRTX 3050も登場! NVIDIAのCES 2022発表まとめ

文●加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

2022年01月05日 08時40分

新モンスターGPU「GeForce RTX 3090Ti」やエントリー向け「RTX 3050」が発表されたNVIDAオンラインイベントまとめ

 2022年1月5日午前1時、NVIDIAはオンラインイベント「NVIDIA CES 2022 Special Address」をYouTubeやTwitch上で開催した。最新GPUテクノロジー(特にHPC分野)をお披露目するGTC(Game Technology Conference)と異なり、CESはよりエンドユーザー寄りの発表が主体となる。今回のイベントで筆者が気になったポイントをいくつか紹介しよう。

NVIDIAのオンラインイベントで進行役となった上級副社長であるJeff Fisher氏

前半は主にゲーミング市場の広がりや、RTXテクノロジー(レイトレーシングやDLSS、Reflexなど)に対応した(する)注目の新ゲームを紹介。画像は近日封切り予定の「Rainbow Six Extraction」

またポストアポカリプス&ゾンビものかよ! と言いたくなるが、こちらも近日封切り予定の「Dying Light 2」

システムレイテンシーを大幅に減らすNVIDIA Reflexはeスポーツ系ゲームだけのものではない。シングルプレイ前提のアクションでも、敵の攻撃をギリギリで見切ったりコンボを繋げる時に役立つという。図はPC用「God of War」のもので、Reflexを有効にすると同じタイミングで操作しても攻撃が躱しやすくなるというもの

迷えるGTXユーザーの救世主となるか?
「GeForce RTX 3050」は1月27日発売

 今回の発表の一番の目玉は、Ampere世代のエントリーGPU「GeForce RTX 3050」の発表だろう。軽めのゲームなら、GTX 1050や1050 Tiクラスであれば60fpsでプレイできたが、さすがに最新のAAAタイトルでは60fpsを大きく下回ってしまう。GTX 16シリーズの更新が止まってしまった今、RTX 3060より安いソリューションが求められていたが、ようやくここに来てRTX 3050という形で具現化したわけだ。

 RTX 3050はCUDAコア2560基、ブーストクロックは1.78GHz。VRAMとしてGDDR6メモリー8GBを搭載し、TGP(Total Graphics Power)は130W、補助電源は8ピン1系統(電源ユニットは550W以上を推奨)というスペックとなる。

 発売は1月27日、北米予想価格249ドル(以上)とのことだが、ちょうどタイミングを同じくして登場したAMDのRadeon RX 6500 XTが199ドルなので価格的にはだいぶ不利だ。だが、AmpereベースなのでDLSSやReflexなど、ゲームで多くのメリットをもたらしてくれる技術が比較的安価で手に入るというメリットがある。NVENCやNVDECといった動画系機能についても、既存のRTX 30シリーズ共通の仕様となっている。

RTX 3050は3060と同様にFounders Editionは存在しないため、AICパートナー製のカードのみが流通する。北米予想価格は249ドルだが、国内価格は円安の煽りを受けてもっと高くなるだろう

GTX 1050クラスのGPUでも、軽い旧世代のゲームであればフルHDで60fpsプレイがなんとか可能だった

ただ、GTXシリーズではもう最新AAAタイトルを遊ぶには適さない。そこでRTX 3050の出番という訳だ。DOOM EternalのところだけやたらRTX 3050が高いのは、DLSSを併用しているからだと思われる

まさに狂気!新フラッグシップ
「GeForce RTX 3090 Ti」もチラ見せ

 今回の発表では、ルーマー系サイトを中心に噂されていた既存のGPUの隙間を埋めるモデル、例えば「RTX 3080のVRAM増量版」や「RTX 3070 TiのVRAM増量版」の発表はなかった。だがJeff Fisher氏はセッションの最後にとんでもない“モンスターGPU”を出してきた。それが「GeForce RTX 3090 Ti」だ。

「One More Thing」として出してきたGeForce RTX 3090 Ti Founders Edition

 詳細なスペックは明らかにされていないが、演算性能(40 Shader TFLOPS/ 78 RT TFLOPS/ 320 Tensor TFLOPS)を見るかぎり、RTX 3090より13%前後のパフォーマンス向上が施されたもの、と推察できる。詳細は1月終盤に、とのことなので、より速いGPUを搭載して内なる安寧を得たい人はもう少し待ちたい。

モバイル向けGPUにはRTX 3080 TiとRTX 3070 Tiが追加
Max-QもGen4へ!

 デスクトップ用のRTX 3080 TiやRTX 3070 Ti(のマイナーチェンジ版)は来なかったが、ノートPC向けGeForceには新たにRTX 3080 TiとRTX 3070 Tiが追加された。これはもちろんゲーマーにとって嬉しいニュースではあるが、今回NVIDIAはクリエイター向けのアピールに絞って発表した。

モバイル向けGeForceはRTX 3080 Tiが新たなフラッグシップGPUとなる。デスクトップ向けのTITAN RTXより速いGPUがノートPCに納まる日が来ようとは……。VRAMはGDDR6で16GBを搭載する

RTX 2070 SUPERよりも1.7倍速いというRTX 3070 Tiも合わせて発表された。WQHD解像度で最新ゲームを最高画質で100fpsで動かすことを目標にしたGPUだ

NVIDIAのノートPC向けの技術「Max-Q」も第4世代に更新された。CPUとGPUの間でパワーをどう効率良く融通し合うかのほかに、いかに高速にCPUのクロックを変化させ、ワットパフォーマンスを向上させるかという点に改善が加わっているらしい。ライバルのAMDも「Smart Shift Max」という新技術を出してきているので、この分野の技術開発競争はまだ暫く止まりそうにない

クリエイターにアピールする材料として、RTX 3080 Tiや3070 Tiを搭載したノートと、M1 Maxを搭載したMacBook Proの性能を比較してみせた。レンダリング、特にRTコアを使うようなシチュエーションでは圧倒的に速いというのがNVIDIAの主張だが、「それはそうだろ」という気もしないでもない

期待のRTX 4000シリーズの発表はなし

 このほか、NVIDIAはゲーマー向けのWQHD 360Hz G-Sync液晶ディスプレーや「Omniverse」のダウンロード開始(個人利用なら無償)、さらにAIを利用したお絵かきアプリ「NVIDIA CANVAS」の新バージョン投入などを発表したが、残念ながら期待されていたRTX 4000シリーズやマルチダイGPUなどのアナウンスはなかった。ただ、RTX 3050や3090 Tiは色々な意味で面白そうな製品であることは間違いない。

NVIDIAがアナウンスした27インチWQHDの360Hz G-Sync液晶。面白いのは25インチのフルHD相当の見え方にもできる、というところ

なぜWQHDか? という理由については、NVIDIA曰くフルHDからWQHDへ解像度を上げると最大3%エイミング精度が向上したとある。眉唾な数字だが、NVIDIAはシステムレイテンシーを研究しガチに論文を書いたりしているので、エイミングに関連するこの液晶も試してみる価値はありそうだ

NVIDIA CANVASは人間が雑に書いたスケッチ(左)をもとにAIが実写のような絵を作り出してくれるというアプリ。これが解像度が4倍、新しい5つの素材を伴ってアップデートされた。ダウンロードは公式サイトより

新旧CANVASの比較。新バージョンでは解像度が4倍になったので、より精彩な“それっぽい絵”が描けるようになった

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