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マイクロ流路でクモ糸形成プロセスの再現に成功=京大など

2024年02月09日 06時53分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学、理化学研究所などの共同研究チームは、クモ糸を構成するタンパク質である「スピドロイン」を繊維に成形することを可能にするマイクロ流体デバイスを設計・開発。同デバイスを利用して、液-液相分離から線維化までのクモ糸生成プロセスを再現することに成功した。

京都大学、理化学研究所などの共同研究チームは、クモ糸を構成するタンパク質である「スピドロイン」を繊維に成形することを可能にするマイクロ流体デバイスを設計・開発。同デバイスを利用して、液-液相分離から線維化までのクモ糸生成プロセスを再現することに成功した。 研究チームが開発したマイクロ流体デバイスは、クモが自然界で達成している紡糸機構と同様に、イオンの交換やピーエイチ(pH)、せん断応力を制御し、水性条件下でスピドロインの自己集合を誘導して階層構造を有する繊維成形を実現する。同チームはさらに、同デバイスにかかる圧力を調節することで、繊維の内部構造を制御できることも発見。紡糸過程のせん断応力を増加させることで、スピドロインがクモ糸の強度を担うβシート構造をより多く形成できた。 クモの糸は、人工繊維とは異なる驚くべき力学特性を示すため、高分子科学や材料科学分野で長きにわたり研究対象となっている。しかし、クモ糸の力学特性はスピドロインから成る複雑な階層構造に大きく依存しているため、再現は困難とされてきた。 今回の成果は、高性能かつ環境に優しい高分子・繊維材料を製造するための技術の発展に寄与することが期待される。研究論文は、科学雑誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)オンライン版に2024年1月15日付けで掲載された

(中條)

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