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業界人の《ことば》から 第575回

あたり前の起業家精神が、日本にはなくなっている

2024年01月29日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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SAJの田中会長(右端)、荻原前会長(前列左端)

SAJの活動を通じて勇気をもらった、さくらインターネットの田中社長

 新年賀詞交歓会で、SAJの田中邦裕会長(さくらインターネット 代表取締役社長)は、「SAJには2つの価値がある」と切り出した。

 「ひとつは、仲間による情報である。これからの世界がどうなるかといったことを教えてもらい、自分がチャレンジするためのテーマをもらうことができる。そして、もうひとつの価値は、仲間から勇気をもらうことである」と述べた。

 最近では、二次請けや三次請けだった会員企業の1社が、直請けになったという例があったという。

「当初は、交渉するのが怖かったが、SAJの活動を通じて勇気を得て交渉をした結果、直請けで仕事ができるようになった。その結果、利益が増え、社員の給与が増えた」という。

 また、別の会員企業では、自社でサービスをやるのは怖かったが、SAJの会員企業の話を聞いて、自分たちでもできるのではないと思うようになったという。

 そして、田中会長自らも、SAJの活動を通じて勇気をもらったという。

一般社団法人ソフトウェア協会の田中邦裕会長

 田中会長が率いるさくらインターネットは、1996年12月に創業、1999年8月に設立。2011年11月には、北海道石狩市に石狩データセンターは開設し、国内資本のデータセンターとして事業を拡大している。2023年11月には、IaaS型クラウド「さくらのクラウド」が、デジタル庁のガバメントクラウドに条件付きで認定された。2025年度末までに技術要件をすべて満たすことが前提となっており、それに向けた機能強化を進めているところだ。

 田中会長は、さくらインターネットの歴史を振り返りながら、「2015年に、東証一部に上場したときには、データセンターは民間企業では駄目ではないか、公的な投資をすればいいのではないかと言われた。また、2020年になると、クラウドは外資系企業だけでいいのではないかと言われるようになった。さらに、2021年に、ガバメントクラウドの認定が外資系企業だけに決まったとき、そこに入れないという悔しい思いとともに、諦めの気持ちがあった。日本は駄目だと思った」と吐露する。

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