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機能性RNAの配列設計を支援する深層学習モデルを開発=京大など

2024年01月23日 06時53分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学と早稲田大学の共同研究チームは、目的の機能と構造をもつ人工RNA設計を支援する世界初の深層学習モデル「Rファムジェン(RfamGen)」を開発した。人工知能(AI)の支援によるRNA設計が可能となることで、従来の設計よりも開発コスト削減と高速化が実現し、核酸医薬や遺伝子治療などのRNA創薬の研究開発が進展することが期待される。

京都大学と早稲田大学の共同研究チームは、目的の機能と構造をもつ人工RNA設計を支援する世界初の深層学習モデル「Rファムジェン(RfamGen)」を開発した。人工知能(AI)の支援によるRNA設計が可能となることで、従来の設計よりも開発コスト削減と高速化が実現し、核酸医薬や遺伝子治療などのRNA創薬の研究開発が進展することが期待される。 RfamGenは、深層学習モデルで広く用いられている手法の一つである「変分オートエンコーダー(VAE)」と、RNA配列と二次構造の情報から機能性RNAを分類できる共分散モデルを組み合わせたもの。特定の機能と構造の特徴をもつRNA群の特徴を学習し、人工配列を生成することができる。 研究チームは、RfamGenが、学習したRNA群と相同な構造と機能をもつRNA配列を安定的に生成できることをコンピューター上の解析と生化学実験の両方で確認。このRfamGenの性能は、深層生成モデルに共分散モデルを適用した結果であることがわかった。さらに、RfamGenを用いて生成配列のRNAを大規模に合成し、その活性を網羅的に検証したところ、生成配列のRNAは天然のRNAより高い活性を示す傾向もみられた。 研究チームによると、少数の入力データで学習した場合でも十分な性能が期待できることや、研究者が生成配列を詳細にカスタマイズ可能であること、入力データよりも高性能な人工RNA配列も生成しうることなどから、生物学や医学など幅広い領域におけるRNAの活用に貢献するという。研究論文は、英科学誌ネイチャー・メソッズ(Nature Methods)に2024年1月18日付けで公開された

(中條)

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