今回のひとこと
「日本の半導体産業の復活のために、今後10年で4万人以上の人材が必要である。半導体産業を支えるのは、いまも、これからも若い優秀な人材である」
CEATEC 2022が、2022年10月18日から、オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッドで開催される。幕張メッセ会場でのリアル開催は3年ぶりとなり、その展示内容にも注目が集まる。
なかでもユニークな展示として、開催前から注目を集めているのが、パートナーズパーク内に設置されるJEITA半導体部会の「JEITA半導体フォーラム2022」の「半導体産業人生ゲーム」だ。
タカラトミーの協力によって実現したこの展示は、ブースの半分を使って、参加者自らがコマとなって、ルーレットで出た数字にあわせてマスを進み、ゴールを目指すというものだ。止まったマスには、半導体産業で過ごすと起こる人生の出来事が書かれており、職種を選択したり、キャリアアップを経験したりといったことが行われる。人生ゲームを通じて、半導体産業で過ごす世界を、楽しく体験できるというわけだ。
止まったマスには、内容に関連してゲーム上の「お金」をゲットすることができ、学生であれば、ゴール後には、そのお金と引き換えにプレゼントを受け取ることができる。
JEITAでは、「半導体産業にはどんな職種があるのか、社会にどんな貢献ができるのかを知ることができる」とする。
実は、JEITA半導体部会が、半導体産業人生ゲームを作った背景には、強い危機感がある。それは、日本の半導体産業の成長に向けて、多くの若い人材が必要という危機感だ。
半導体産業人生ゲームも、CEATEC 2022に来場する高校生、高専生、専門学校生、大学生に参加してもらい、「半導体産業を知ってもらい、働く場所の選択肢のひとつにしてもらえるきっかけにしたい」とする。
半導体人材シンポジウム、学生へのアピール
JEITA半導体部会は、CEATEC 2022において、オンラインコンファレンスとして、「半導体人材シンポジウム」などのコンテンツを配信。2022年10月31日までオンデマンドで視聴ができる。このシンポジウムのなかで、キオクシアの早坂伸夫社長は、学生たちに、半導体産業の魅力を訴求した。
早坂社長は、「今後も半導体産業は大きく成長し、日本にもまだまだ多くのチャンスがある。日本の半導体産業の成長のためには、多くの人材を必要とする。新たな価値を生み出すポテンシャルを持つ学生に大きな期待を寄せている」と語る。
キオクシアは、2019年10月に、東芝メモリから社名を変更。フラッシュメモリの専業メーカーとして、日本の半導体産業を牽引する1社だ。1987年に東芝がフラッシュメモリを発明して以来、35年に渡り市場をリードしてきた。
「フラッシュメモリのメモリチップの製造は、すべて日本国内の製造拠点で行っている。三重県四日市市、岩手県北上市がキオクシアの2大製造拠点であり、協業している米ウエスタンデジタル向けのフラシュメモリも製造している。両社をあわせると、世界の3分の1のメモリが日本のキオクシアの製造工場で生産し、世界に供給していることになる」という。
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