佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第151回
オーディオがネットワーク化することで、ソフトの重要性が増す
OS搭載のスピーカー? カナダのPSB Speakersが「Alpha iQ」を発表
2022年09月26日 19時00分更新
この連載で以前、ヘッドホン・イヤホンに搭載するOSについて書いた。今回は実際にOSが搭載されたスピーカー製品の話題だ。
ダラスで9月29日から開催予定のホームIT系イベント“CEDIA EXPO 2022”に向けて、カナダのPSB Speakersがアンプ内蔵スピーカー「Alpha iQ」を発表した。Alpha iQはワイヤレススピーカーで特徴はOSを搭載しているということだ。オーディオファイル級の音質でかつ簡単にストリーミング再生が楽しめるようになったとしている。
このソフトウェアはBluOSをベースに構築している。これによりAmazon Music HD、Qobus、TIDALなどのハイレゾストリーミングサービスが使用できるようになる(Apple Musicは不明)。また、Bluetooth(aptX HD)やAirPlay 2を使ってスマートフォンとの接続も可能だ。
BluOSはマルチルーム再生を実現するためのソフト(OS)で、主に単品のネットワークプレーヤーに使われている。例えば、オーディオメーカーのNAD ElectronicsがBluOS搭載のネットワークプレーヤー「C 700」を発売している。
Alpha iQはこの機能を一体型で実現したと言える。
本体に液晶ディスプレーはないので、設定や操作は全てパソコンかスマートフォンのBluOS用アプリを使う。DACは最大192kHz/24bit対応で、MQAのフルデコードが可能だ。MQAのデコードはBluOS自体の機能と考えられる。ネットワークにはスピーカー背面のEthernet端子かWi-Fiによって接続する。
2ウェイでウーファー用に60W出力のD級アンプ、ツィーター用に30W出力のD級アンプが搭載されている。また、DSPを使用したアクティブクロスオーバーを採用している。スピーカーとしてはツィーターがウーファーの下に配置されている点がユニークだが、これはリスナーが立っていても座っていても、ベストなリスニングポジションが得やすく、自由度が高いためだという。Alpha iQの価格は1499ドルで、10月19日の発売を予定している。
オーディオ機器を共通のソフトウェアでコントロールする流れは、オーディオ機器の高機能化・多様化に伴ったものと言える。その流れの中で、従来のファームウエアを超えるような規模のソフトウェアがオーディオ機器にも要求されるようになってきたということだろう。今後のオーディオ機器のあり方に一石を投じる変革となるに違いない。
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