業務を変えるkintoneユーザー事例 第156回
現場の課題を拾うのも、パートナーとの情報共有もkintone
アプリ開発に重要な「取り込みデータの3S」とは?
2022年09月22日 09時00分更新
kintoneをクルマに例えてみると、開発やカスタマイズのアプローチがわかる!?
成果を上げられた背景には、同時に進行していた会社の年間経営計画の存在もあったと、高橋氏は言う。
「全員にタブレット端末を支給し、業務のテジタル化を図りました。事務所に戻る必要をなくして訪問を効率化、同じ時間でより多くの訪問先に行けるようにしました。チーム営業を進める。これらの取り組みと合わさることで、kintone導入は大きな成果を残せたと考えています」(高橋氏)
また村山氏は、アプリ開発時に大切にしている「取り込みデータの3S」があると語る。3Sとは製造業などの現場で使われる言葉で「整理、整頓、清掃」の頭文字をとった言葉だ。
「データを取り込む際に、まず整理すること。これが一番大事です。基幹システムの顧客マスタには107の入力項目がありましたが、kintoneでは20項目にまで整理しました。次に整頓ですが、決められた情報が決められた場所に置かれるようにアプリをつくります。ラジオボタンやドロップダウン、チェックボックスを使って、できるだけ選択肢になるようにフォームを作るのです。そして運用が始まったら、定期的にデータの清掃をします。こうすることで入力しやすくなり、使ってもらえるアプリになります」(村山氏)
kintoneでは既存のデータをそのまま読み込んでアプリを作ることもできる。見せたくない項目をグループ化して非表示にすることもできる。しかし絞り込み項目を選択する際など、ふとしたところでユーザーの目についてしまうので、完全に隠しきれる訳ではない。本当に使いやすいアプリを作るなら、kintoneアプリ化に合わせてデータ項目を整理する方が親切なのは言うまでもない。
さらに村山氏は、kintoneをクルマに例えてアプリ開発を次のように説明した。
「クルマを買ってカスタマイズする際、カーナビやドライブレコーダーなどエンドユーザーが自分でできる部分があります。これはkintoneにおけるプラグインに当たると思います。エンジンをパワーアップしたいと考える人もいますが、これは技術を持った専門家に頼まなければできません。オフィシャルパートナーに依頼してアプリを開発するのは、これに当たるでしょう。そこをわかって取り組めば、迷うことなくカスタマイズを進めていけるのではないでしょうか」(村山氏)
ウェルフェア部に続いて特販部にもkintone導入を進めていきたい、社内のこまかい要望にもkintoneで応えていきたいと今後の抱負を語り、ふたりは発表を締めくくった。
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