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業務を変えるkintoneユーザー事例 第118回

5人から全社員にユーザーを増やした4年間で得た3つの気づきとは?

納得するタイミングは人によって違う ABC不動産の社員がkintoneを使うまで

2021年09月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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敵だと思ったら味方だった 気づくきっかけがkintone

 kintoneを使った業務改善も進んだ。以前は紙伝票をExcelに転記し、経理部に集め、紙の伝票と照らし合わせていたため、1店舗あたり5時間、3店舗で合計15時間が費やされていた。しかし、kintone導入後はgusuku Customine(アールスリーインスティテュート)でデータチェックを行ない、krewData(グレープシティ)でデータを自動集計。「おかげで店舗スタッフでやっていた転記業務がなくなり、事務所スタッフで対応可能に。経理スタッフは紙伝票とのチェック作業がなくなり、大幅に作業時間を短縮できた」と語る。

kintoneの業務改善も進行。Customineでデータチェック、krewDataで自動集計

 また、営業、巡回、物件担当が情報を登録してくれるようになったので、データも溜まってきた。しかし、建築事業部との情報共有がうまく行ってなかった。営業、巡回、物件の担当の声を受け、吉田氏は建築事業部にも同じシステムを使うように要望したが、「忙しいから対応できない」「いつ辞めるかわからないシステムにデータを入れたくない」と言って拒否されてしまった。

 困った吉田氏がTwitterで助けを求めたところ、いくつかの学びがあった。たとえば、「導入意義を伝えること」「お互い歩み寄ること」「最初のお願いは最低限にして抵抗をなくすこと」などだ。「私は言われたままの要望を建築事業部に伝えていました。ずっと拒否される中で、頭の中で勝手に相手をラスボス化していたのです」と吉田氏は振り返る。

 その後、社内ミーティングが開催され、社長からは、なぜデータを集めるのか?、どのようにデータを活用したいのかという話があった。吉田氏も各部署の話をよく聞くことにしたことで、本当に必要な情報はなにかを話し合うことができた。結果、アプリと運用方法がシンプルになったという。

 たとえば、オーナー様訪問記録アプリでは、営業や物件担当と同行することが多いため、建築事業部は特に記録する必要がないことがわかった。また、営業や物件担当と共有したい情報は、従来の案件管理アプリに商談進捗欄を追加すれば済むこともわかった。案件の基本情報はこれまで通り営業担当が入力し、建築事業部が日付を入れれば、お互いに進捗が共有できるわけだ。

案件管理アプリの改良で建築事業部も便利に使えるように

 案件管理アプリもテーブルで作られていたが、一覧が見づらいという声を受け、フィールドをずらりと並べた形に変更した。この案件管理アプリでは、決裁者である部長にも入力をお願いすることになったが、部長からは「それってオレになんのメリットがあるの?」と言われてしまったという。ここで部長から言われたのは、「使う側にどんなメリットがあるかもちゃんと伝えるべき」ということ。その後、アプリではわざわざ次の作業者に連絡してなくても、日付を入れたら通知される仕組みに改良した。

 結局、建築事業部はアプリの改善要望を出してくれるようになり、他の事業部にもデータ入力を促すようになった。敵だと思っていた存在が、実は味方だったとわかった吉田氏。kintoneはその気づきを得るための大きなきっかけだったという。建築事業部とは今後リフォーム関連の情報も集めていくことになっており、吉田氏のkintoneジャーニーはまだまだ先がありそうだ。

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