System/390ではELCに換わり
CMOSを採用
そこで1994年に投入された後継のSystem/390(S/390)の最初のシステムであるIBM 9672シリーズでは、全面的にCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)に置き換えられることになった。もちろんこの段階では大幅に性能が下がったのだが、IBMのおそろしいところは、ここから毎年のようにプロセスを刷新し、高性能化を図ったことだ。
S/390は6世代の製品群があるが下表にようになっており、G3の時点で総合性能はES/9000を上回っており、G4の時点でプロセッサー単体性能もほぼES/9000を上回るものになった。
S/390は6世代の製品群 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
世代 | 発表年 | CPU数 | 性能(MIPS) | |||
第1世代(G1) | 1994 | 1~6 | 15~66 | |||
第2世代(G2) | 1995 | 1~10 | 15~171 | |||
第3世代(G3) | 1996 | 1~10 | 33~374 | |||
第4世代(G4) | 1997 | 1~10 | 49~447 | |||
第5世代(G5) | 1998 | 1~10 | 88~1069 | |||
第6世代(G6) | 1999 | 1~12 | 178~1644 |
ちなみにそれぞれのCMOSプロセスだが、下記のようにどんどん微細化されており、90年~2000年台のCMOSプロセスの急速な進化の恩恵をフルに受ける形で性能を上げていったと言っても良いだろう。
世代別のCMOSプロセス | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
G1 | CMOS-94(???) | |||||
G2 | CMOS-95(CMOS5X:0.5μm?) | |||||
G3 | CMOS-96(CMOS5S:0.44μm) | |||||
G4 | CMOS-97(CMOS6S:0.27μm) | |||||
G5 | CMOS-98(CMOS7S:0.22μm) | |||||
G6 | CMOS-99(CMOS9S:0.13μm) |
ちなみにこのS/390の後継がzシリーズになるわけだが、こちらはアーキテクチャー的にも64bitアドレスがサポートされたほか、スーパースカラーを実装するなど、かなりモダンな構成になっていくが、その話はまた改めてしよう。
この連載の記事
-
第775回
PC
安定した転送速度を確保できたSCSI 消え去ったI/F史 -
第774回
PC
日本の半導体メーカーが開発協力に名乗りを上げた次世代Esperanto ET-SoC AIプロセッサーの昨今 -
第773回
PC
Sound Blasterが普及に大きく貢献したGame Port 消え去ったI/F史 -
第772回
PC
スーパーコンピューターの系譜 本格稼働で大きく性能を伸ばしたAuroraだが世界一には届かなかった -
第771回
PC
277もの特許を使用して標準化した高速シリアルバスIEEE 1394 消え去ったI/F史 -
第770回
PC
キーボードとマウスをつなぐDINおよびPS/2コネクター 消え去ったI/F史 -
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ - この連載の一覧へ