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IBMがレッドハットを340億ドルで買収、狙いは「コンテナ」

2018年10月30日 11時28分更新

文● Martin Giles

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IBMが340億ドルでレッドハット(Red Hat)を買収することを発表した。ソフトウェア企業の買収としては世界史上最高額となった今回の出来事は、クラウド・コンピューティングにおけるコード開発方法が大きく変化することを示している。

ビックブルー(IBMの通称)が、オープンソース・ソフトウェア開発で有名なレッドハットを飲み込もうとしている。オープンソースのムーブメントでは、開発者コミュティがソースコードを更新し続けられるよう、ソフトウェアの中核となるソースコードが無償公開されている。 レッドハットのような企業は、そうして開発したソフトウェアを企業が導入・使用する際に支援するサービスを提供しているのだ。

IBMがレッドハットに触手を伸ばしたのは、レッドハットがさまざまな種類のクラウド・プラットフォームを管理するためのインフラを持っているからだけではない。IBMの買収は、「コンテナ化」として知られる、クラウドで使用するアプリケーションを作成する新たな方法に対する大きな賭けでもある。「コンテナ化」とは、アプリケーションに関連するライブラリや環境設定ファイル、効率的にアプリケーションが動作するために必要なその他の要素すべてと、アプリケーションを1つのファイルとしてまとめることを指す。伝統的なソフトウェア開発においては、あるコンピューティング環境で開発されたコードが別の環境に配置されたときに誤作動を起こしやすいことが頭痛の種となっていた。コンテナ化されたパッケージ、つまりコンテナを使えば、どのクラウドサービスでも円滑に動作するアプリケーションを作成することが可能になる。

コンテナの支持者は、コンテナを使用している企業は、競合他社よりも迅速にアプリケーションを開発・配置できると主張している。しかし、コンテナの管理は、依然としてコストがかかるという問題がある。このことが、ベンチャー投資家がコンテナを開発するスタートアップ企業に何十億ドルもの資金を投入してきた理由の1つだ。レッドハットはすでに、ドッカー(Docker)やクーベネティス(Kubernetes)のような一般的なエコシステムのコンテナを管理するためのオープンソース・プラットフォームである「オープンシフト(OpenShift)」という人気のサービスを提供している。それゆえ、レッドハットを買収することで、IBMはコンテナという新興分野において、自動的に優位な立場を得ることになる。

コンテナ化が、(クラウド上での利用を前提して設計される)クラウド・ネイティブ・アプリケーションを開発するための事実上の方法になる保証はない。しかし、コンテナ化が本当により広く普及すれば、IBMの過去最高額の買収が正しい賭けだったことが証明されるだろう。

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