この記事は「伝説のエフェクター「Uni-Vibe」復刻版の回路は一晩で書かれた」の続きとなります。前回の記事と合わせてご覧ください。
ジミ・ヘンドリックスがアメリカ国歌の演奏に使ったことで知られる「Uni-Vibe」。その伝説のエフェクターを回路設計したのが、現・コルグ監査役の三枝文夫さんだった。
その三枝さんもまた、1970年に国産初のシンセサイザー「試作一号機」を開発して以降、miniKORG、800DVと現在につながる製品を数多く産んだ電子楽器界の伝説の人でもある。
しかし、Uni-Vibeは名前はよく知られていても、個体数が少なく実機に触れる機会はほとんどない。同じ回路で再現しようにも、その回路の中心を成すパーツのCdSが、RoHS指令により使えない。それを置き換える回路も難しい。
それゆえ設計者自身も再現を諦めていたにも関わらず、新たに配属されてきた若いエンジニアの森川悠佑さんが「CdSが使えないなら作ればいい」と動き始める。それを見た三枝さんは、一晩でCdSをトランジスタに置き換える回路を書いてきてしまった。
……というのが前編のあらすじ。伝説のエンジニアと血気盛んな若者の共作。なんだかマンガのようなでき過ぎた話にも思えるが、実際にはなかなか回路は思う通りには動かず、森川さんは何度も基板設計をやり直して改良を重ね、やっと「Nuvibe」は完成した。
後編は謎の多いエフェクターの真実を振り返りながら、Uni-Vibeを再現することの難しさ、そして新しい楽器の生まれにくい状況について語ってもらった。
(次ページは、「伝説のプレッシャーより音が似ていないことのほうが悔しかった」)
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