業界人の《ことば》から 第43回
国内テレビ市場は、アナログ停波で需要が前倒しになったことが、現在に影響している
JEITA佐々木会長、自信があるなら円安で値上げも判断のひとつ
2013年06月11日 09時00分更新
アナログ停波で需要が先倒しになったあとを考えなかった失敗は業界の教訓
4K放送は、2014年をめどに本放送が開始され、さらに2016年には8K放送の試験放送が開始されることになっている。2020年には8K放送の本放送が開始される予定だ。
「4Kテレビ、8Kテレビは、イノベーテイブなものに取り組んでいくという意味でのフラッグシップになるものであり、高精細になれば、省エネに対する技術的な開発なども増えるだろう。コンテンツが4K、8Kであることも重要だが、日本のテレビメーカーは、2Kのコンテンツを4Kに変換するといった技術が得意であり、ここで差別化できるとも考えている。技術的な優位性を発揮できる分野である。一歩先に技術を開発し、市場に投入していくことが必要。技術で先頭を走っていく象徴的なものが4K、8Kとなる」とする一方、「だが、4Kテレビは、技術的に開発すべき要素もまだ多い。スマートテレビ化にむけても、まわりの環境を整備する必要がある」と語った。
さらにテレビ市場の動向については、「国内テレビ市場は、アナログ停波で需要が前倒しになったことが、現在に影響している。前倒しで得た利益を新市場開拓のために投資した企業もあったが、需要の減少分をどのように考えるべきだったかといった点が反省点でもある。こうした経験を、今後同じ轍を踏まないように生かしていきたい」とした。
円安で値上げも判断のひとつだ
一方、円安が加速していることについても言及。佐々木会長は、「IT・エレクトロニクス業界が一律の体制で、円安に対応するということはない。各社ごとに円高の際への対応が異なっているのがその理由。過度な円高にあわせて、海外へ生産拠点をシフトし、円高を享受したビジネスモデルの企業もある。こうした企業はさらなるコストダウンの努力や値上げといった手を取ることになるだろう。為替動向を中長期にどう捉え、次の経営にどう反映させるかは各社ごとに異なる」などとしたほか、アップルが円安を背景に価格上昇に踏み切った点には、「個別のメーカーの動きに言及するつもりはないが」と前置きしながらも、「一般論として、ブランド力を確立した分野においては、自分の自信のある範囲で値上げをするというのは判断のひとつである」とした。
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