5型オーバーのスマートフォンが1つのカテゴリとして市場を形成しつつあるようだ。1月に開催された「International CES 2013」では、ソニーモバイルをはじめ数社がこのタイプを発表。今年は5型以上の画面を搭載したスマートフォンの販売台数が、2012年の2.3倍になるという予想もある。
フォン(Phone)+タブレット(Tablet)
=ファブレット(Ph-ablet)
5~6型の画面を搭載したスマートフォンは、海外ではスマートフォンとタブレットを合わせた造語として、“ファブレット”と呼ばれている(英語版Wikipediaにおける「Phablet」)。大画面化するスマートフォンに対し、タブレットは「iPad mini」や「Kindle Fire」の影響からか7型クラスの小型モデルに人気の中心が移っているので、エリアが重なりつつあるとも言えるが、現時点では両者の境目は通話機能があるかどうかにあると言えそうだ。融合に向かっているのか、スマートフォンとタブレットは平行して進化していくのかは、予想が分かれそうだ。
早速、CESで登場したファブレットを見てみよう。Huawei Technologiesは2機種を発表。6.1型(!)とファブレットカテゴリでは最大レベルの画面を持つ「Ascend Mate」、それに5型の「Ascend D2」だ(ドコモ春モデルで発表されたAscend D2は4.7型HD液晶だが、海外モデルは5型フルHD液晶)。
同国のライバルであるZTEは、イタリアのデザイナーStefano Giovannon氏がデザインを手がけた「Grand S」を発表した。ディスプレーは5型フルHDで同社のフラッグシップスマホとなる。同じく中国勢からは、Lenovoの「IdeaPhone 5K」(5型)と「Lenovo K900」(5.5型)が発表された。Alcatelブランドではあるが、TCLも「Alcatel One Touch Scribe HD」(5型)を発表した。そして、ソニーモバイルの5型モデル「Xperia Z」と続く。
今年はファブレット起爆の年、前年比2倍以上成長か?
ファブレットの代表モデルは、もう日本でもおなじみのSamsung「GALAXY Note」シリーズである。5.3型のHD SUPER AMOLEDを搭載した初代機が2011年に登場した当初は、「こんな大きな電話を耳に当てる人がいるのか?」と見る向きもあったが、GALAXY Noteは5ヵ月で500万台を売り切った。
早くからデータ通信の利用に中心が移っていた日本や韓国では最初から“アリ”と言えたのかもしれないが、ニーズは世界的にあったようだ。背景にはLTEなど高速モバイル通信が普及しはじめ、無線LANの補完もあり、動画などの大画面で活きるコンテンツの利用が快適になってきたことがあるだろう。
Samsungは2012年8月に後継となる「GALAXY Note II」を発表、今度は画面はさらに大きくなり5.5型となった。これは2ヵ月で販売台数は500万台に到達した。2012年はHTCも「HTC Butterfly」(5型)を発表し、カテゴリーの確立に貢献した。そういった流れから、CESでファブレットが相次いで発表されたのは当然の流れと言えそうだ。
では、ファブレット市場はどのぐらい成長するのか、調査会社の予想を見てみよう。iSuppliは2012年の出荷台数を2560万台と報告、2013年の出荷台数は前年比136%増の6040万台と予想している。ディスプレーデバイスの価格低下も手助けして、原価が下がると見ており、2016年には1億4600万台を出荷するとする。
Reutersが報じたBarclaysの予想では、2012年から2015年の間に出荷台数は9倍増と、iSuppliよりも高い成長率を出している。ベンダーシェアについては、現在7割強を占めるSamsungの比率が、2015年には6割弱になるとBarclaysは予想している。
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