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ゼロからはじめるバックアップ入門 最終回

リストアやスケジューリング、各種設定を試す

バックアップを賢く行なうための設定チェック

2010年09月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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アラートと通知でバックアップを確実に

 もう1つ目を配っておきたいのが、アラートと通知である。バックアップという処理は、バックアップソフトやデータ保護を行なうデバイスなど複数のコンポーネントが連携することで、作業が適切に遂行される。しかし、コンポーネントのうちどれかが適切に動作しないと、エラーになってしまう。たとえば、バックアップ先となるメディアの空き容量が不足していて作業が途中で止まってしまった、予期しないサイズのファイルが対象となったため作業に時間がかかってしまった、オートローダーのテープ交換作業が適切に行われなかったといった事態である。こうした事態をいち早く知り、適切に対応するためのアラートや通知はきちんと設定しておく必要がある。

 Symantec Backup Exec 2010の管理コンソールでは「アラート」メニューに既設のアラートが表示されるようになっている。アラートのカテゴリは多岐におよんでおり、ジョブの開始、終了、成功の有無はもちろん、デバイスやメディアのエラー、データベースの保守作業、LiveUpdateの実行などのアラートがある。アラート内容(タイプ)も、成功、失敗、警告、情報表示などとさまざまだ。失敗や警告のタイプが表示されていたら、管理者はテープ交換やディスクの増設、設定変更、再起動などの対応を行なえばよい。

管理コンソールの「アクティブアラート」をチェックすると、最新のアラートが一覧表示される

 また、こうしたアラートを電子メールやSNMPなどを使って、さまざまなアラートを管理者に通知できる。「ツール」メニューから「通知システム」を選択し、「SMTP設定」や「MAPI設定」などでサーバー名などを登録することで、アラート通知が行なえる。受信者を複数指定することもできる。とはいえ、デフォルトではかなりのアラートが登録されているので、ジョブの失敗やデバイス/メディアエラーなど重要なアラートのみ通知するといった設定にしておくとよいだろう。「ツール」の「アラートカテゴリー」を選択すると、タイプごとに通知の種類を分けることができる。

通知に使うメールサーバーやアカウントを登録する

アラートカテゴリーの内容ごとに通知をカスタマイズできる

 以上がSumantec Backup Exec 2010を用いたバックアップのおおまかな流れだ。バックアップとリストアの計画にしたがって設定を行ない、現場の状況に即したテストを繰り返すことで、失敗のないバックアップが実現できるだろう。

必要な機能はオプションで追加しよう

 もちろん昨今は、データ量の爆発的な増大や仮想化技術の普及、新しいバックアップデバイスやアプリケーションの登場、クライアントPC保護の需要増加、コンプライアンスへの対応などユーザーが抱える課題が大きく変化している。こうした課題に対応するため、多くのバックアップソフトは環境ごとのオプションを提供している。Symantec Backup Exec 2010でも、重複排除やアーカイビング、クライアントPC保護用のオプションが用意されており、必要に応じて機能を追加できるようになっている。

 さて、本連載では「ゼロからはじめるバックアップ入門」ということで、バックアップの基礎知識と実践について説明してきた。バックアップメディアの変化、重複除外やアーカイビングなど最新機能や動向についても触れてきたつもりだ。「転ばぬ先のバックアップ」という言葉もあるが、データの保護やシステムの可用性という観点で見れば、バックアップはコンピュータを扱うすべての人にとって重要なトピックである。バックアップを学ぶのに際して、少しでも参考になれば幸いだ。

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