Intelチップセットの歴史 その6
845から945まで モバイルチップセットを振り返る
2010年01月25日 12時00分更新
Dothan登場とともに、チップセットもIntel 915世代に
ただこうした混乱も、Pentium Mの第2世代である「Dothan」コアの投入にともない、モバイル向けがほぼPentium Mで統一されたことでいったん収束に向かう気配を見せる。2005年1月には、「Intel 915」シリーズ4製品が同時に投入された。こちらは915という型番からわかるとおり、デスクトップ向けIntel 915のモバイル版である。
メインストリーム向けは「Intel 915GM」で、過渡的仕様ということでDDR-333メモリーとDDR2-400/533メモリーを2チャンネル分サポートするほか、インターフェースをPCI Expressに変更し、ICHも「ICH6M」になった。内蔵するGPUも「GMA900」になっている。
ただし、デスクトップ向けの「Intel 915G」は、内蔵GPUが333MHzながらTDPが16.3Wに達するのに対し、915GMは最大333MHz駆動ながら、実際には133/166/200/333MHzといくつかの周波数を用意して、何とかTDPを6.0W(915PMで5.5W)と現実的な数字に押さえ込んでいる。
また、この915GMをベースに、薄型ノート向けにパッケージと仕様を抑えたのが「Intel 915GMS」だ。こちらはメモリーが1チャンネルのみで、外部グラフィックも無しになっている。GMA900の動作周波数も最大200MHzに抑えられ、その代わりTDPは4.8Wまで下がった。また、低価格向けに「915GMSのサブセット」というか、915GMから533MHz FSBや外部グラフィックを省いた形の「Intel 910GML」も発表される。
この910GMLはちょっと不思議な仕様で、DDR-333利用時はメモリーが1チャンネルのみだが、DDR2-400利用時は2チャンネルになる。この910GMLから、さらに機能を減らした(Macrovisionの著作権保護機能とTV出力を無効に)のが「Intel 910GMLE」。同様に、915GMからMacrovision/TV出力のみを省いたのが「Intel 915GME」である。この2つについて公式な発表はないが、データシートを見る限り、2007年4月に両製品は投入されたようだ。
このあたりまでは、かろうじてMobile Pentium 4が生き残ってはいた。しかし、続くデュアルコアCPUの「Core Duo」や、さらにこれを改良した「Core 2 Duo」が登場することで、Mobile Pentium 4系列は完全にフェードアウトすることになる。
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