Intelチップセットの歴史 その6
845から945まで モバイルチップセットを振り返る
2010年01月25日 12時00分更新
低消費電力なイスラエル開発の855PMと、
消費電力の高かったオレゴン開発の855GM
さて、ここからラインナップがかなり複雑になる。まず、2003年3月にPentium Mが投入されたことで、これに対応した「Intel 855PM」(Odem)と「Intel 855GM」(Montara-GM)が投入される。実はこの2製品は、別個に開発されたチップセットだった。
855PMはPentium Mと同様に、イスラエルのデザインセンターが開発したPentium M専用チップセットである。他方で、855GMは852GMと同じく、オレゴンのデザインセンターが開発している。実際855PMのTDPは1.8Wだが、一方855GMは3.2W以下と大きかった。GPUの動作周波数こそ133/200MHzで選択可能だったが、消費電力の大きさと性能の低さを勘案し、初期のPentium M搭載マシンの中には「Intel 855PM+ディスクリートGPU」の構成を選択した例がいくつか見られる(後継のIntel 855GMEは、AGP使用時で3.2W以下、内蔵GPUで4.3W以下)。
もっとも855GMは、基本的にはMobile Pentium 4向けの852GMにPentium Mのサポートを追加した以外の差はないから(GPUの動作周波数も若干上がった)、855PM並みの省電力性を期待するのは酷だ、とも言える。その後2003年11月には、DDR-333メモリーのサポートを追加した「Intel 855GME」も投入される。
モバイル向けにPentium M投入後も
Mobile Pentium 4系のサポートは続く
これらとは別に、Mobile Pentium 4-M(やMobile Pentium 4)向けの製品も投入される。インテルとしては、せっかくラインナップを確立したMobile Pentium 4系を、いきなりPentium Mで置き換えるわけにも行かなかったためだ。そのため、533MHz FSBやより高い動作周波数、最後にはハイパー・スレッディングなども投入し、「高性能モバイル向け」をMobile Pentium 4系に、「省電力モバイル向け」をPentium Mに担わせることにする。
その結果2003年6月には、533MHz FSBをサポートしたPentium 4系のために、「Intel 852GME」と「Intel 852PM」が投入される。852GMEは533MHz FSBに加えて、AGP 4xの復活や内蔵GPUの動作周波数引き上げ(最大266MHz)などを施したものだ。852GMEから内蔵GPUを無効化したのが、852PMである。
これらはPentium 4向けと言いつつも、実際にはPentium Mも動作したし、事実Pentium M対応のマザーボードが、この852GMEを使って発売されていたりした。ノート向けには、Pentium Mと一緒に導入された「Centrino」のロゴ取得のために、855PM/GMを使うケースが圧倒的多数だった。しかしSFFや自作向けには、低価格で性能もそこそこある852GMEは良い選択肢だったようだ。その後、855GMにDDR-333サポートを追加した「Intel 855GME」も追加される。
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