賭博場になりつつある中国のゲーセン
最近、日本のゲーセンに元気がないというニュースをよく見る。利用者離れが起き、日本の地方都市を中心にメーカー直営のゲーセンが閉鎖されていっているという。日本の新作ゲームタイトルのリリース数が少なくなり、また海賊版対策がため撤退したり、海賊版対策を強化したことから、中国のゲーセンにおいても新作タイトル投入が全くといっていいほどなかった。新しいタイトルがまったくなくても、数年間は既存の利用者は新作を求めてないのか、いつもレトロゲームを遊んでいた。
それでもいい加減同じタイトルばかりあってゲーセンが飽きられつつあるのか、中国のゲーセンに変化が見られるようになった。
「(中国人の)客を呼べる新作ゲームをできるだけたくさん呼びたい」──その結果、ゲーセンは非合法なギャンブル場と化した。「安価な中国製ゲームで、金稼ぎが大好きな商売気質の中国人を呼び、リスキーでも商売繁盛したい」というゲーセンオーナーらの欲望の結果、中国の別の産業でも見たような構図がゲーセンにもやってきた。結果、地方都市を中心に、入口だけフェイクとして普通のゲーム機が置かれている一方で、店の奥に中国製ギャンブルゲームが並ぶゲーセンが大量に出現した。
中国においては、ゲームセンターに日本のゲームが置くことも、非公認のギャンブルをすることも違法だ。ただし、前者はお目こぼしがあり、後者は厳しく取り締まるらしい。最近新装開店したゲームセンターがたくさん出現しているため、そうしたゲームセンターが取り締まられている。
中国のゲームセンターも、日本と同様に岐路に立たされている。その点については同じだが、日本と異なり中国では、若者のためのゲームセンターが減り、リスキーなおじさんのためのゲームセンターに変貌しつつあるのである。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」(http://blogmag.ascii.jp/china/)も絶賛更新中
この連載の記事
-
最終回
トピックス
中国ITの“特殊性”を100回の記事から振り返る -
第99回
トピックス
受注が急増する中国スパコン事情 -
第98回
トピックス
Twitterもどきの「微博」対応に奔走する中国政府 -
第97回
トピックス
検閲厳しく品質がイマイチな中国地図サイト事情 -
第96回
トピックス
iPhoneが大好きな中国人、その実態とは -
第95回
トピックス
中国から学ぶネットリテラシーの上げ方 -
第94回
トピックス
香港電脳街へのいざない -
第93回
トピックス
中国とVPNの切るに切れない関係 -
第92回
トピックス
中国でデスクトップPCを修理する(後編) -
第91回
トピックス
中国でデスクトップPCを修理する(前編) -
第90回
トピックス
中国ネットユーザーが創り出す新しい日本旅行のスタイル - この連載の一覧へ