トレンドマイクロ株式会社
人事部マネージャー 大久保修一さん
インターネットセキュリティ企業として世界規模で事業を展開するトレンドマイクロは、いくつかあるIT職種の中でも特に即戦力となるQAエンジニアを求めている。品質管理を主な業務とするQAエンジニアには、どのようなスキルと資質が要求されるのか。同社の採用ポイントを参考に、QAエンジニアとして転職を目指してみよう。
- 書類の書き方
- ・本人の職歴、スキルなどが具体的に分かりやすく書かれていると好印象
- ・どんなことをしたいかなど、入社後にやりたいことをアピール
- 面接ノウハウ
- ・仕事の経験を通して自分が成長してきた、また成長していきたいことを伝える
- ・論理的に、そして分かりやすく自分をアピールする
トレンドマイクロのソリューション提供事業とは
トレンドマイクロは、コンシューマー向けソフト『ウイルスバスター』でよく知られているインターネットセキュリティ企業だ。同社の業務の中核となるのはコンピュータおよびインターネット用セキュリティの関連製品やサービス開発と販売である。1989年にアメリカで創業し、今は日本に本社を構えてグローバルに事業を展開。各国の支社がその国のニーズにあったセキュリティ関連ビジネスを行ない、かつ有機的に結びついている。
そんなトレンドマイクロが、QAエンジニアを現在募集する理由は何か。
「トレンドマイクロの使命は、お客様が安心してインターネットを利用できる世界を実現することです。お客様の大切なデジタル資産を守るための製品・サービスが不安定では、セキュリティ以前の問題です。それには、まずお客様に信頼していただける安定した品質を守りつづけること、つまりQAエンジニア(以下QA)が必要であると考えています。QA(Quality Assurance)とは、クオリティエンジニアのことで、顧客の視点で新製品が問題ないか調査し、最終的に品質保証する業務職種をいいます。日本では、この職種は一般に製造業、ハードウェアのイメージが強いのではないかと思いますが、ソフトウェアにもQAは必要不可欠です。昨今は、ハードウェアの高性能化、インフラの高速化に伴い、すべてのソフトウェアが多機能になってきています。このような背景の中で、企業競争に勝てるスピードとお客様が安心して使える品質を両立させるために、ますますQAの役割の重要性は高まってきていると感じています」
トレンドマイクロの採用条件とは 書類選考突破ノウハウ
スピードと品質保証を絶対と考えるトレンドマイクロであるが、QAという人材を採用する場合、この職種ならではの採用基準はあるのだろうか。まず書類選考突破のノウハウを聞いた。
「トレンドマイクロでは、QAエンジニアだからといって書類選考に特別に高いハードルを設けてはいません。自分の経歴について、プロジェクト名だけでなく、どんなポジションで何をしたのか、また結果について書かれていれば1次面接まで進めるでしょう。しかし、なぜ当社に入りたいのか、どんなことをしたいのかが明確でない書類では通過できません。職務経歴書以外に独自で自分をアピールする書類を付けるより、まずは決められたフォーマットにしっかりと書きこむことが大切です。資格については、これが必要ということものは特にありません。とはいえ、何らかの資格を有していることは、QAエンジニアの業務に直接結びつかないものでも、スキルアップの努力をしている証として評価するケースもあります」
志望する企業によっては、自己アピールを好意的に捉える場合もあるが、まずはプロジェクトの成果や志望動機といった“選考の基本”となる内容おさえた上で、書類を作成すべきということだ。
考え方や経験重視の面接 自分の実績を通じて成長経験やキャリア観を伝えよう
トレンドマイクロは採用に際して、可能な限り多くの応募者に会うというスタンスの企業だ。また、面接では必ず「あなたはトレンドマイクロに入って何をしたいですか」と質問される。そして、この質問に対して、自分の実績や経験を元に「こういうことがしたい」という説明しなくてはならない。このやり取りを通じて、論理的に話ができるか──コミュニケーション能力を判断される。また面接の中で、英語で自分のことを話す時間をとることもあるそうだ。
「これはQAに限ったことではありませんが、コミュニケーション能力がある人を求めています。これは自分の意志をしっかりと言える能力と、相手に伝わるように整理して論理的に話ができる能力を備えている人材ということです。またセキュリティを取り扱っている性質上、海外とのやり取りが多いので、英語のドキュメントが読める程度の英語力や英会話力も必要です。基準としては、TOEIC550点以上というところでしょうか」
「また、面接でしばしば『QAとして、その先に何をしたいですか?』と聞きます。その質問にしっかり答えられる人は、自分のスキルやキャリアについてのビジョンをしっかり持っていると判断できるからです。それに対して、部長になりたいとか、マネージャーになりたいとかポジションを回答する人は、必要な人材であるかを判断しにくいです。マネジメントがしたいとか、先端技術を極めたいというように、仕事内容などで答えてほしいですね。自分の仕事観についてしっかり掘り下げて説明できる必要があります」
面接で具体的な将来のビジョンを述べるときに、役職で答えていてはNGということだ。また、会社の主業務がソリューション提供である会社として、レスキューマインドという「顧客はもちろん、仕事で困っている人や、部署があれば、自らヘルプを申し出る気持ち」という精神の有無を、採用人材の判断基準に設けているという。
「面接ではその人の考え方や経験を見たいので、基本的に突飛なことは聞きません。些細なことでもいいので、自分がどういう経験や仕事を通して成長してきたかについて、具体的に話して欲しいです。そのような話ができる人は、成長意識が高く、入社後も自ら成長する気持ちで仕事ができると考えられるからです。そして、その人が持っているスキルが必要かどうかという以前に、人としてトレンドマイクロに必要であるかを見ています。突出したスキルがあるのはもちろん歓迎します。しかしそれ以上に、ソリューション提供の企業として、困っている人を助けられるレスキューマインドの持ち主をトレンドマイクロは評価しています」
- ■取材協力
- トレンドマイクロ株式会社
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