業務を変えるkintoneユーザー事例 第121回
社内に浸透させるならゆるいルール作りと連携サービスの活用が効果的
利用7年目に突入した星野リゾート、愛されるkitnoneのはぐくみ方を語る
2021年10月14日 09時00分更新
2021年7月8日、東京の新木場STUDIO COASTにて「kintone hive tokyo 2021」が開催された。kintone hive(キントーンハイブ)は、kintoneを業務で活用しているユーザーがノウハウや経験を共有するイベントだ。全国6カ所で開催され、その優勝者がサイボウズの総合イベント「Cybozu Days」で開催される「kintone AWARD」に出場できる。
登壇したのは5社で、4番目に登壇したのは星野リゾート 情報システムグループ ユーザーサポートチーム 小竹潤子氏。「育ち盛りの7年目 -愛されるkintoneのはぐくみ方-」というお題でプレゼンしてくれた。
異動してきた2年前、社内のkintoneは荒れ放題の畑だった?
ご存じ星野リゾートは全国約50施設のリゾート・温泉旅館・ホテルのオペレーションをになっている総合リゾート運営会社。1914年に創業し、今年で107年目を迎える老舗だ。
小竹氏は2016年に「星のや軽井沢」のサービススタッフとして入社し、2019年の社内公募で情報システムグループへ異動した。より接客に割く時間を生み出したいという思いから、日々業務改善を行なっており、そのうち情報システムに興味を抱くようになったそう。
情報システムグループは「旅に魔法をかけるITチーム」として約40名が活動している。kintoneの導入は2014年で、削除したものも含めると総アプリ作成数は約2800にもなる。使用中のアプリでも約800もあり、社内の約100個あるワークフロー申請やスタッフの社内異動管理、GoToTravelキャンペーンの対応などに使っているそう。
「私たちが導入当初に目指していたのは全スタッフが自由にkintoneアプリを作成できる世界です。運用と活用をスタッフ主導で進めていき、情報システムは監督として見守るイメージをしていました」(小竹氏)
スタッフにのびのびとアプリを作って欲しいので、まずは希望する人にアプリの作成権限を渡した。同時に、社内にkintoneをこんな風に活用できるよ、と周知を行なっていた。
そんな中、2年前に小竹氏が異動してくるのだが、kintoneは荒れ放題の畑のような状態だったそう。kintoneを使っているスタッフからトラブルの問い合わせがあり、小竹氏が駆けつけるという日々が繰り返されることになる。
アプリが動かないと言われて、アクセス権の設定を開いてみると、画面4つ分くらいのユーザーが登録されて、誰がいつアプリを作ったのかがわからない状況になっていたりする。アプリが乱立しすぎて、施設や事業所のマスターアプリのどれが本物かわからないということも起きている。被らないと想定していたのに、PCの管理や購入申請がいくつも並んでいる状態になっていた。
そして、極めつけがカスタマイズが動かないというトラブル。保守していたスタッフが退職してしまい、どうにもならないと駆け込まれたことがあるそう。
しかし、どのトラブルもしっかりと向きあって聞くと、単なる荒れた畑ではないことに気がついた。相談がたくさん来ると言うことは、みんながkintoneを使っていると言うこと。導入した配意が使われない荒野のような状態になることを考えればずいぶんとましだ。
権限リストが長大になったもの、どんどん使う人が増えていったから。アプリが活用されていることがトラブルの原因なら、悪いことだけではない。JavaScriptによるカスタマイズも、みんなの業務をもっともっと便利にしたかったという想いから生まれている。
「実は、荒れた畑ではなく、やる気があふれたいい畑だった」と小竹氏の認識が変化。そのため、一時期はアプリの作成を禁止しようという意見も出ていたそうだが、やる気を活かすために仕組みを再整理することにした。
「周りを見回して、私たちがありたい姿と、抱えていた現状と、それに対する打ち手を付箋にしてたくさん並べていきました。出てきた打ち手に対して、アプリ権限の調整やルールの決め方など、社内解決できるものは社内で解決しました。それでも解決が難しかった課題に対しては、社外にヒントを探しに行きました」(小竹氏)。うまくkintoneを活用している他社の事例を参考にしたのだ。
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