今回のことば
「日本の企業は、真のマルチクラウドの実現に向けて、欧米の企業が経験してきたことを学べば、同じ失敗を繰り返さなくていい。Dell Technologiesはそれを支援できる立場にある」(デルの平手智行社長)
欧米と日本のマルチクラウドには差がある
調査によると、欧米では93%の企業が複数のクラウドを使用し、平均で5種類以上のクラウドを利用しているという。日本でも、複数のパブリッククラウドを活用しようとする動きが加速しており、マルチクラウド化が進展しようとしているところだ。
だが、デルの平手智行社長は「欧米の企業と、日本の企業がいうマルチクラウドには差がある。日本の企業は、複数のパブリッククラウドを利用することをマルチクラウドと呼ぶことが多いが、欧米の企業は、パブリッククラウドとプライベートクラウド、そして、エッジまでをクラウド化し、これらをひとつの環境として捉える動きが進み、これをマルチクラウドと呼んでいる」とする。
欧米の先進企業では、複数のパブリッククラウドをどう使うのかを議論する時代はすでに終わり、オンプレミスとエッジのクラウドスタック化により、すべての領域において、クラウドオペレーションとオートメーションを実現し、資産や資源、データを、どのクラウドでも共通に動かすという世界を目指している。
具体的には、Amazon Web Services(AWS)で使っているものをMicrosoft Azureで動かし、Microsoft Azureで作ったものをGoogle Cloud Platform(GCP)で動かし、オンプレミス環境をプライベートクラウド化し、さらにエッジをクラウド化し、パブリッククラウドにもつなげるといった環境の実現だ。
複数のパブリッククラウドを利用して生まれる課題を解決したことで、実現する新たなマルチクラウドの世界であるともいえる。
「複数のパブリッククラウドを活用した結果、大手クラウドプロバイダーによるクラウドサイロ、クラウドジェイル、あるいはクラウドロックインという状況が生まれた。クラウドプロバイダーごとに管理が異なり、アプリやデータは特定のクラウドでしか利用できないものになった」とし、
「このままでは日本の企業も、欧米の企業が歩んできたのと同じ道をたどり、同じ課題にぶつかることになる」と警笛を鳴らす。
この連載の記事
-
第591回
ビジネス
シャープが堺のディスプレーパネル生産を停止、2期連続の赤字受け -
第590回
ビジネス
生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか? -
第589回
ビジネス
三菱電機が標ぼうする「サステナビリティ経営」、トレードオフからトレードオンへ -
第588回
ビジネス
富士通の子会社でDX専門のコンサルティングをするRidgelinez -
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ - この連載の一覧へ