業務を変えるkintoneユーザー事例 第41回
kintoneにChatWorkやRPAを組み合わせた業務の自動化を披露
LawyTechを進める税理士の「心配するな、うまくいく」
2019年03月11日 11時30分更新
2019年2月25日に名古屋で開催されたkintone hive nagoya。2番目に登壇したミッドランド税理士法人の小泉直哉氏は、経営者のサポーターである税理士になるまでの自身の体験を赤裸々に語る。その上で、kintoneやチャットツール、RPAを活用した業務の自動化や、Lawyerに向けたLawyTechの方向性について説明した。
税理士は「冷静で情熱的な経営者のパートナー」
kintone hive nagoyaの2番手として登壇したのはミッドランド税理士法人の小泉直哉氏だ。小泉氏が勤務する会計事務所は全国に約3万件あり、ファミリーマートとローソンを足したくらいの数になるという。典型的な分散型・小規模ビジネスで、近い将来は業務の大部分でコンピューター化が進むと言われている。「実際はコンピューター化が進むという意味ですが、職業が奪われるという誤解は多い」とは小泉氏の弁だ。
会計事務所は税金の計算や相談といった期間的な業務のほか、事業計画の策定や収益性の改善なども手がける。「根本的に僕たちの仕事はなんなのか。専門性を持って経営者を理解し、経営者のパートナーになっていく。なので、冷静で情熱的。そんな仕事です」(小泉氏)だという。
そんな会計事務所で働く小泉氏の趣味は、落語と音楽だ。落語は立川談志、音楽はボブ・マーリーが好きとのことだが、両者で共通しているメッセージは「心配するな、うまくいく」だ。若い頃は、そんな生き方をしたいと、大学を卒業してケータリングのレストランでチキンを売り始めたが、「ギターを弾きながら、キャンプ場でチキンを売ってかなり儲かった。でも、冬は全然売れなかった。寒い日に外でチキンを食べながら、お酒を飲みたい人はいないんです」(小泉氏)という顛末だった。
「好きなことで生きて行くのは大変」ということで夢をあきらめた小泉氏は、その後普通に会社勤めをし、日本と中国に会社を興したが、やっぱり大変だった。震災で高価な貨物がなくなってしまい、だんだんお酒が増えていった。「あるときからお酒を飲んでないことがなくなってしまいました。お酒をずっと呑んでいると、仕事ができなくなるんです。会社もやっていかなくなったし、離婚も経験した。このままでは死んでしまうと思いました」と振り返った。まさにどん底だった。
夢をあきらめた小泉氏が会計事務所で働くまで
でも、小泉氏はお酒をやめられた。理由は筋トレだ。「当時はお腹が大きすぎて、靴ひもが結べませんでした。これがいやで、筋トレを始めました。筋肉にはお酒が悪いということで、あっさり止められました」小泉氏は振り返る。そして、お酒を呑んでいる時間がなくなったので、空いた時間を勉強にあてた。
この勉強の時間に今の会計事務所の社長に出会ったのが運命の分かれ道だった。「僕はお酒でいっぱい失敗したし、仕事でもいっぱい失敗しました。でも、今は幸せに仕事しています。結局、心配しなくて、うまくいってるんです。これを他の人にも伝えたいと思いました」と小泉氏は語る。そして、誰をサポートするかと考えたら、自らも辛い経験をした経営者が浮かんだ。「経営者をサポートしたい。彼らの理解者になりたい。僕の紆余曲折を活かせる仕事が会計事務所でした。事務所の代表が教えてくれました」(小泉氏)。
サポートする対象を見つけた小泉氏は、次に手段を考えた。日本には400万もの会社があるが、一人の税理士が抱えられるのはどんなにがんばっても30社程度。前述したとおり、会計事務所は3万社あるので、やれそうな気もするが、それほど簡単ではなかった。会計事務所での処理は、税法が変わるたびにどんどん複雑になってくる。加えて、税務以外の相談が数多く、勉強も追いつかない。
小泉氏は「また、夢をあきらめて、お酒を呑み、靴ひもの結べない生活に戻るのか?」と思ったが、冒頭のように会計の業務の86%はコンピューターで置き換えられると前向きに考えた。小泉氏は、「安全に業務を効率化していくこと」「経営の支援をするための時間を作ること」「付加価値化」といった目標を決め、これをテクノロジーで実装していくことに焦点を定めた。そこで「士業の現場に最適化されたテクノロジーの提供が、僕がやるべきことだと理解できました」と語り、ミッドランドではLawyer+Techで「LawyTech」を推進している。
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