DECに対抗するために開発された
「AS/400」
そこで、System/36およびSystem/38の後継機種として開発されたのが、AS/400(Application System/400)である。当初はSystem/40という名前で開発されていたようだが、どこで数字が10倍に増えたのかは不明だ(*2)。
![](/img/2019/02/25/1136279/l/7b09b5b37a8fac7b.jpg)
1988年に発表されたAS/400の各モデル。B10は、本当にPCサーバー程度の大きさに収まっているのはSystem/36などと同じだ
画像の出典は、“IBM Archives”
System/38の時には、独禁法訴訟の絡みであえて製品ラインナップを分離したが、この頃になるとその恐れもだいぶ軽減したこともあり、そうなるとIBMとしては製品ラインナップを統合したほうがサポートの手間も減るし(*3)、顧客にとっても無駄に選択肢が増えるよりもむしろわかりやすい。
(*2) IBMは1985年に、電動タイプライターとしてIBM WheelwhiterとIBM Quietwriterという、ほとんどワープロに近い製品をリリースするが、これらはSystem/20とSystem/40の2つのバージョンがあった。これと勘違いしやすいから、というわけではないようだ。
(*3) 実際の製品ラインナップを見ると複雑怪奇なものになっており、とても製品ラインナップが整理されたとは言い難いものはある。
System/38にSystem/36の
互換機能を持たせたAS/400
AS/400は、基本的にはSystem/38にSystem/36の互換環境を導入した、というのが一番正しい説明になるだろう。
システムアーキテクチャーそのものはSystem/38をベースとしながら、System/36との互換性をも維持するというもので、この実装にはSystem/38で実装されたTIMIが役に立ったようだ。ただSystem/38で実装されていたSLS((Single-Level Store))に関しては、AS/400では廃止になっている。
アドレスは引き続き48bitだったので、理論上は256TBのメモリー空間があるわけで、1980年代の周辺機器の容量や接続台数を考えれば十分おつりが来るはずだが、SLSの概念はともかくとして、当時の実装ではSLSのメリットが引き出せないと判断したのかもしれない。
実装は当然ながらSystem/38の延長にあるCISCであるが、製造は0.8μmプロセスのCMOSで行なわれた。チップは12.7mm角で、プロセッサーにはMCM(Multilayer Ceramic Module:要するにセラミック製のマルチチップモジュール)を利用して構築された。
1つのプロセッサーカードには2つのMCMが搭載されており、片方のMCMはプロセッサー本体で、これはLogic Operation、Fixed Point、Floating Pointの3つのチップから構成される。もう片方はStorage Control Unitで、これはチップ2つとオプションでSRAMチップが2つ搭載されていたそうだ。
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