日本の生活スタイルにあわせた冷蔵庫を提案する
そして、この発表は、アクアが、開発・販売する冷蔵庫、洗濯機といった製品が、日本の市場にフォーカスにしたものであることを証明するものとなったといえるだろう。
たとえば、洗濯機。日本人の生活が多様化していることを指摘しながら、「これまでは単身世帯であれば小さな洗濯機でいいと思われていたが、単身世帯でも、週末にまとめて洗濯をするなら少し大きめの容量の洗濯機が適している。また、スポーツをしている人も、日常の洋服に加えて、スポーツ用ウェアの洗濯をする必要があるため、同様に容量が大きめのものがいい。一方で、家族がいても、毎日洗濯する人は大容量の洗濯機は必要がないともいえる」(アクア 日本副代表 執行役員の森田昌治氏)とする。
そのほか、夜や朝にしか洗濯しない人は、動作時の運転音が静かな洗濯機を選んだほうがいいし、洗剤アレルギーを持つ人はしっかりすすぐことができる洗濯機が適している。そして、子供がいる家庭では、泥んこ汚れをしっかりと落とす機能を優先したほうがいい。
冷蔵庫も同様だ。「一人暮らしでも、家でしっかりと料理を作りたい人は、週末に買い物をして、1週間分の料理の下ごしらえをし、それを冷凍。平日に解凍して調理をするといった冷蔵庫の使い方をしている。この場合には、一人暮らしでも冷凍室が大きめのものを選択する方がいい」とする。
これまでは、家族の人数×1人あたりの平均使用容量という計算から、冷蔵庫のサイズや洗濯機の容量を決めるのが一般的だったが、生活スタイルの多様化によって、こうした計算式はもはや当てはまらないというわけだ。
しかし、これだけ生活スタイルが多様化しても、それにあわせて、製品を選べるだけの品揃えができていないという課題を、山口代表は指摘する。
とくに、単身世帯や2人暮らしを対象にした中型、小型の製品の品揃えが少ないとする。
「現在、国内では110機種の冷蔵庫が販売されているというが、そのうち約6割が400リットル以上の大容量モデル。これに対して、中型、小型の冷蔵庫は約4割。とくに中小型製品での選択肢が限られている」と、森田副代表は語る。
アクアは冷蔵庫においては中小型が得意分野。生活スタイルにあわせた製品提案を行うために、同社では、今後、冷蔵庫は1.5倍に、洗濯機では1.2倍に、ラインアップを拡大する考えを示す。
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