国内のIT投資における4つのビックプロジェクト
廣川社長がとくに強調するのが、ミッションクリティカル領域におけるレッドハットの活用が増えていることである。
「レッドハットは、2006年にはニューヨーク証券取引所に上場したが、ニューヨーク証券取引所は、金融業界におけるレッドハットの最大の顧客である。また、日本においては、東京証券取引所グループと大阪証券取引所を経営統合した日本取引所グループも、日本最大級のレッドハットユーザーとなっている」としたほか、「東証や法務省、NHK、JR、NTT、KDDI、ソフトバンクなどがレッドハットを活用。まさに、オープンソースによって、日本のラインラインが成り立っている」とする。
このように、ミッションクリティカルのメインストリームの領域に、相次いでオープンソースが活用されている理由を廣川社長は次のように説明する。
「レッドハットの役割は、ユーザーの声を、いち早く開発コミュニティに送り、そこにおいて、最高のものを安く、早く、開発し、パートナーとしてソリーションに組み上げてユーザーに戻す、といったエコシステムを媒介することにある。全世界に100万人を超すオープンソースの開発者が、10万のプロジェクトを進行させている。マイクロソフトやオラクルのように数万人の開発者で製品を開発してきた、という時代は終焉した。OS、ミドルウェア、クラウド、ビッグデータ、モバイルのすべてにおいて、オープンソースのコミュニティを通じて代替するような製品が開発され、世の中に登場している。日本において、過去7年間注力してきたのは、日本の市場や、日本のユーザーからの声を、世界中の開発コミュニティに届けるといったことである。また、日本人はいいものを長く使い、いいものに改良していくという技術に長けている。そのため、オープソースのようなのは使えないと言っていたが、富士通、NEC、日立、日本HPと一緒にアドバンスドミッションクリティカルなクラスのLinuxへと進化させ、10年間のサポートも実現した。安心してオープンソースのLinuxに移行できる佳境に移行したことが大きい」。
そして、こうも語る。
「2014年は、日本のIT産業においては、4つのビッグプロジェクトがあった。ひとつは政府によるマイナンバー制度、2つめはみずほフィナンシャルグループでのサーバー統合、3つめが電力会社における送電線分離およびスマートメーターの導入、そして、最後が日本郵政における郵政総合情報通信ネットワークである。これらの中核のテクノロジーがすべてオープンソースであった。すべてがレッドハットではないが、日本のITインフラがオープンソースに刷新されてきたことの証だといえる。さらに、ビッグデータについても、大手自動車会社や大手自動車会社がレッドハットを採用し、データセンターでも日本航空、全日空などの大手企業が相次いでレッドハットを採用している」
このように、大手企業が相次いでオープンソースを採用していく状況が、2014年に促進されたことを強調してみせた。
「現在、世界では、WindowsとLinuxが半分ずつのシェアとなっている。一方で、日本のOS市場は、700億円。そのなかで約23%がLinuxのシェア。7年前は10%だったLinuxの市場シェアは大きく拡大している。現在、Windows Serverは47%のシェアがある。だが、今後の広がりを考えると、2020年には半分以上がLinuxになるとみている」と予測する。
2015年も、レッドハットは、成長戦略を描く考えだ。
「日本のITインフラを、世界に誇れるようなものにするための支援を、オープンソースで行っていく。だが、これだけでは、事業成長は10%止まり。20~30%の成長を遂げるためには、新たにビッグデータにIoTをつなげること、クラウドにモビリティをつなげるといった取り組みを加速し、ITユーザーに選択肢を提供する。日本において、トップレベルのクラウドサービスを提供できるように支援していく」と語る。
そして、コンテナのエンタープライズ対応したRedHat Enterprise Linux Atomicを皮切りに、続々と新製品を投入し、バージョンアップも相次ぎ行っていく姿勢も示す。
「それに向けて、レッドハットの日本法人もバージョンしていかなくてはならない」と廣川社長。製品強化、組織強化によって、成長戦略をさらに加速する考えだ。社長就任から7年を迎えた廣川社長の鼻息は荒い。
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