14nmは製造コストの
上昇が避けられない
14nmプロセスに突き進むインテルであるが、コストの負担は少なくない。ここからは同社のCFOであるStacy Smith氏のプレゼンテーションである。
まず下の画像はウェハー1枚を製造するために必要なコストを示したものだ。65nm→45nmはほぼ同等、32nmはそのままだと多少コストが上がったが、うまく再利用をしたことでコストを削減できている。
ところが22nmでは1.5倍近くに跳ね上がり、14nm世代では65nm世代と比較してほぼ倍近くになると予想されている。その一方で、平均のダイサイズは緩やかにではあるが削減方向にある。
特に一部の製品群、この場合はノートPC向けのCore i系の場合、2013~2015年を比較するとダイサイズは29%削減されるという。
端的にまとめると、ダイサイズが29%減ればその分多数のコアを1枚のウェハーから取れるため、原価を落とせるというわけだ。14nm世代でさらにダイサイズを減らせれば、ウェハー製造コストによる原価上昇分をある程度相殺できることになる。
では、なぜコストが上がるのか、その理由を探ってみよう。下の画像が2013年における投資額である。
およそ70億ドルが製造装置への設備投資である。すでに22nmへの設備投資はかなり絞られているため、このほとんどは14nmプロセスへのものになるだろう。
14nmへの投資は2012年頃から行なわれており、合計で100億ドルを超えるのは間違いないところで、これを何年で償却するかがという話はあるにしても、けっこうな負担になるわけだ。
下の画像は、先ほどのグラフにウェハーの製造枚数を重ねたものであるが、ウェハーの製造枚数そのものは32nm世代とたいして変わらないことが見て取れる。またファウンダリーの稼働率もここ数年は80%程度を維持しており、たくさん作って、相対的に原価を下げることも難しい。
要するにインテルの14nm世代の製品は、従来に比べるとどうしてもコストが上がることは避けられない、というのがここでの結論になる。
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