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脱マルチエフェクター・脱アプリを掲げ、何に気付くのか

ToneGrageで気付く、今エフェクターを持つ意味

2013年09月14日 12時00分更新

文● 四本淑三

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オープンハードウェア化した歴史的エフェクター

 いろいろ言っていますが、正直、全部買う必要もなかったと思っています。が、ひと通り満足の行く音が出ることを確認したかった。そして歪みもののほかにもなんか欲しいよね、ロバート・フリップとかスティーヴ・ヒレッジみたいな音も出したいし。みたいなことを思うようになるのであります。

 そこで最近のコンパクト・エフェクターの世界を概観してみると、アナログ系の単体エフェクターには、ものすごく小さなものが出ており、人気を博している様子。最近のエフェクターのトレンドは、やっぱりミニチュア化だったかと、ここでも思うわけです。

 ミニチュア・エフェクターの代表的なところではMOOERというブランドがあります(MOOERはこちらでご覧いただけます)。筐体は006P電池すら入らない、細長いひとくち羊羹のような形をしており、外部から9Vの供給を受けて動作する仕様になっています。

 オーバードライブ、ディストーションのような歪み系や、コーラス、フランジャー、ディレイのような空間系まで、大体ベーシックなところは揃っています。サイズ以外の特徴としては、過去に存在した有名なエフェクター、あるいは現存するエフェクターに似た音が出ることが、こっそりほのめかされていたり。

 例えばEHXのBig Muff(昔からある有名なファズボックス)とか、ProcoのRAT(同じくディストーション)とか、MXRのオレンジ色のフェーザーとか。つまり、そうしたクローンが安く、小さくなって出回っているということです。

 これはまさに21世紀的なエフェクターの姿と言えます。評価の定まったヴィンテージ・エフェクターの回路は研究しつくされ、回路図はインターネットで入手できるものもあり、半ばオープンハードウェア的に誰でも作れる環境になっている。昨今の自作エフェクターブームというのも、そうした環境を背景にしているはずです。

 電子回路自体は誰でも作れることから、いかにもエフェクトペダルでございという立派な外観より、小さくて便利という方向に振られるのも、当然の流れ。言い方を変えれば、自作では難しい要素を入れなければ、商品性を維持するのが難しいということでもありましょう。

 それで試しに1個買ってみました。今年デビューしたHOTONEというブランドの「FURY」というファズペダルを。

HOTONE「FURY」。ピックと比べてもこのサイズ。コントロールは、ボリューム、トーン、ゲイン、そして小さなプッシュスイッチはコンプレッション。価格はなぜか、どの楽器店でも大体8800円

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