四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第128回
ホンモノを作った「ToneGarage」の開発チームインタビュー後編
真空管ならディスクリート回路、ひたすら真面目に作ったんです
2013年09月07日 12時00分更新
オーバードライブ「Straight 6 Drive」
―― 色からしてこれはオーバードライブですが……チューブスクリーマー※1を意識しているとか?
李 その辺をカバーするようにはしていますが、普通のオーバードライブです。AC30※2らしさというか、VOXらしさを出しつつ、チューブスクリーマーが好きな人達にも納得頂けるような、そういう所を狙っているんですね。ほとんど歪まない状態から、こんなところまで(ギャーンと鳴らす)出ます。
※1 Ibanez/Maxonのオペアンプを使ったオーバードライブ。70年代後半に発売されて以降、根強い人気がある。この回路を真似たクローンや改造品も数多く存在する。
※2 1959年に登場したVOXのギターアンプ。出力は30Wで、12インチスピーカーを2基搭載。名器と呼ばれ、改良を加えられ現在もシリーズとして販売されている
―― ギターのボリュームを絞ったときに、きれいなクリーントーンになるのはいいですね。
李 ゲインを下げると邪魔にならないようなところも狙っているんです。真空管アンプに近い感覚で弾けるということですね。そこにAC30らしさを加えるのに、BRIGHTスイッチも付けています。
小田 こいつがあればアンプはAC30じゃなくても大丈夫。ブリティッシュアンプっぽい音が出せるわけですよね。すごく出せる音のレンジが幅広いです。
ハイゲイン・ディストーション「V8 Distortion」
―― で、次のはさらに余計に歪むということですか?
李 これは歪みすぎるくらい歪みます。
小田 これはモダンな歪みも出るんです。VOXはブリティッシュサウンドのイメージが強いですが、これはそれだけじゃないぞという。
―― いやー、これは最近のメタルっぽい音ですね。リード弾くのにいいかも。
李 全体的に分厚い壁のような、全体を埋めるような、そういうディストーションですね。このスイッチは歪ませたい帯域をシフトするんです。ちょっとダークになった感じがすると思うんですけど。
―― ハイが切れてミッドレンジ寄りの音になるんですね。
李 そうするとよりリード向きの音になります。
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