外側のディスプレーは、静電容量式の10点マルチタッチ対応で、付属のペンを使えば筆圧感知に対応した手書きもできる。それに対し、内側のディスプレーにはタッチ機能はなく、内側を使っている場合には、ごく普通のUltrabookのように感じる。
最近はタッチ対応のWindows 8マシンを触る機会が多いためか、思わずこちら側でも画面をタッチしそうになるが、タッチ対応なのはあくまで天板面・外側のディスプレーだけ。「両方ともタッチ対応なら……」とも思うが、そもそも両面にディスプレーを搭載するというだけでも厳しいのに、両方タッチにするのはかなり大変だろう、と予想できる。
そもそも、他社がこのような構造を採らなかったのも、「使わない時間があるディスプレーをもうひとつ搭載する」というやり方が、コスト的にも設計的にも無駄が大きい、という判断だったのだろう。だがそこで、ASUSは思い切った。表と裏にディスプレーをつけることで、新しい価値が生まれると判断したからだ。
TAICHIでは、表と裏のディスプレーを同時に使うこともできる。だから裏面をサブディスプレーにして、プレゼンの情報だけを相手に見せたり、同じ情報を表示して情報を共有したり、という使い方もできる。表裏でありながら同一でもあり、片方ずつでも使える。ある意味禅問答のような多様な使い方ができることを、ASUSは評価したのだろう。この陰陽的なところから、「陰陽=TAICHI」と名付けられているのだろう。
切り換えユーティリティが優秀
複雑な機構も使いやすく
こういう使い方をするには、画面の切り換えなどを使いやすくする仕組みが必要だ。
単純に「閉じた時は表、開いた時は内側」という使い方をするなら、特別なディスプレー設定はいらない。だが、表裏をメイン・サブのディスプレーとして使い分けたり、ミラーリングで同じ情報を表示したりする場合には画面モードの設定切り替えが必要だ。
そこで使うのが、TAICHIのオリジナルユーティリティーである「TAICHI HOME」だ。キーボードのファンクションキー列にある、青い陰陽マークの「TAICHI HOME」キーを押すか、アプリアイコンの選択で起動できる。
TAICHI HOMEは下の画面のとおり、画面設定を切り換えるだけのものではない。指でのタップ(もしくはマウスでの選択)で各種設定を簡単に切り換えられる。この種の設定をタッチでもできるよう、大型のボタンに変えていくのは一般的なトレンドであるようだ。その種の操作がわかりやすくなっているのはもちろん、ストレージの容量もすぐにわかる。
先ほど触れた画面モードの切り換えは、ユーティリティーの画面をタップでもいいが、「TAICHI HOME」キーを複数回押して切り換え、Enterキーでモード確定、というやり方もできる。慣れるまでのタッチでの操作と、慣れた後のキーボード操作。両方を想定してあるのは面白い。
ただ、ディスプレーの切り換えを、OSが持つディスプレーモード切り換えの拡張、という形で実装している関係上、ディスプレーを開いたり閉じたりした時の「外側・内側切り換え」には、ワンテンポ時間がかかる印象を受けた。ディスプレーをスライドさせたり、裏返したりするものに比べると、意外と即応性に欠ける。
バッテリー駆動時間は不満
付属品ケースやACアダプターに好感触
ノートパソコンとして使った時の「手堅さ」という点で、TAICHIはとても好ましく思う。
Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「5.6」。ボトルネックになっているのはCPU内蔵グラフィックスだが、昨今のUltrabookでは標準的な値であり、特に問題があるものではない。これだけ重装備な製品なのに、重量は約1.25kgとそれほど重くなく、薄さも十分。価格面でも13万9800円から(Core i5モデル)というのは、「2画面だ」と思えば納得の範疇といえる。
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