環境に合わせたCPUクーラー選び
ケース、電源と見てきて最後は、イマドキのCPUクーラーを確認していこう。CPUクーラーは各ベンダーが冷却性能向上のため試行錯誤した結果、形状/材質/価格とも多種多様で定番といえる製品がないのが現状だ。
この点は毎年変わることもなく、今でも明確な答えがない難題でもあるのだが、そこがCPUクーラーの面白いところでもある。
そこで、ここでは基本的なCPUクーラー選ぶ際のポイントについて紹介していきたい。なお、CPUクーラー個別の性能については「2011年CPUクーラー最強王者決定戦」で詳しく紹介しているのでそちらも参照してもらいたい。
トップフローとサイドフローの違い
CPUクーラーにはファンの風を上から吹き付ける「トップフロータイプ」と横方向から風を吹き付ける「サイドフロータイプ」の2種類がある。リテールボックスに付属する純正クーラーはIntel、AMDともにごく一部の例外を除いて、ほとんどがトップフロータイプを採用している。
トップフロータイプは、CPUの冷却に加えてCPU周辺のパーツも冷却できるという面で優れた方式だ。このあたりを製品のウリとしてプッシュする例も多い。さらに、幅の狭いスリム型PCケースや、Mini-ITXクラスのコンパクトPCケースでは高さに制限があるため、必然的に「トップフロータイプ」を使う必要がある。
一方で大口径ファンを搭載した場合など、サイドフローに比べてCPU周辺のコンデンサーやメモリーと干渉しやすく、あまり大きくなると取付け自体が困難になるなどの問題もある。
サイドフロータイプは、CPUコアに接触するベース部と放熱フィンから構成され、ヒートパイプによってベース部の熱を放熱フィンへ移動して冷却する仕組み。
さらにヒートパイプを使うことで、放熱フィンを高い位置にマウントできるため、CPU周りのコンデンサー類やメモリーなどへの物理的干渉を気にすることなく放熱フィンの大型化と大口径ファンを搭載できる。そのため、特に高冷却モデルの多くはサイドフローを採用した製品が多くなっている。
今や特別ではなくなった水冷クーラー
これまで水冷方式のCPUクーラーというと冷却性能は高いものの、大掛かりかつ、メンテナンスも面倒なイメージがあり、一部のハイエンドユーザー向けといった趣が強かった。
ところが、いまやそのようなイメージは皆無。特価で3000円台から購入可能な水冷キットは、自作初心者がいきなり導入するということも場合によっては可能な時代となっている。
実は重要、時間をかけてじっくり検討しよう
ここまで、PCケース/電源ユニット/CPUクーラーのいまどきについて紹介してきた。いずれも、処理速度を向上させる、きれいな描画を実現するといったパフォーマンスに直接影響のないカテゴリーともいえる。
ただし、CPUやビデオカードといったパーツ類をいかに快適に動作させるかが問われるのがPCケース/電源ユニット/CPUクーラーだ。どんなに高性能なPCも、まず第一に安定して動作することが重要なのは言うまでもない。そのためにはエアフローに配慮したPCケースや安定した電源出力を持つ電源ユニット、冷却性能の高いCPUクーラーをしっかり選択しておきたい。
これで4回にわたってお届けした「アキバで恥をかかないための最新パーツ事情」は終了だ。ここまで読めば、もう情報通。パーツショップに行っても知らない単語に悩まされることは、ほとんどないはずだ。
さっそく秋葉原に行って、最新PCパーツを買い漁ろうじゃないか!
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