総合ベンチマークの最新版
「PCMark 7」が登場
「自分のPCの性能」を客観的に把握するのは難しいものだ。例えばCPUの性能だけを評価するならば、CGレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R11.5」のような、CPUを強烈に使うベンチマークツールを使えばよい。
またGPU描画性能ならば、各種ゲーム系ベンチマークや定番のグラフィックスベンチマークソフト「3DMark 11」「3DMark Vantage」などがある。だが、実際にPCを使う際には、ベンチマークソフトがするような作業が連続することはまずない。「日常的な処理」をPCにさせた時のパフォーマンスを測定する手段が必要だ。
手軽なパフォーマンス計測手段としては、Windows Vista以降で採用された「Windowsエクスペリエンスインデックス」がある。だが、ハードウェア構成によっては簡単にスコアが最高値付近に届いて飽和してしまうため、高スペック機同士の性能比較には使えないのが現状だ。
そこで登場するのが、本特集で3回に渡って解説する米Futuremark製の総合ベンチマークソフト「PCMark」シリーズの最新版、「PCMark 7」である。
本特集では、5月にリリースされたシリーズ最新版について、その概要から測定項目別の評価の見方、そしてどのパーツを変えるとどう数字が変わるのかといった細部まで、PCMark 7の全体像について解説する。
3つのエディションはどう違う?
PCMark 7には3種類のエディションが用意されている。インストールプログラムは公式サイトからダウンロード可能だ。インストールしたばかりの(シリアルコードを入れていない)状態が、無料で試せる「Basic Edition」。ほかの2種類は有料の「Advanced Edition」と「Professional Edition」となる。各エディションの違いは以下の通りだ。
Basic Edition |
無料 | デフォルトの総合テストのみ実行できるエディション。ストレージのテストは起動用ドライブが強制的に選択される。結果はFuturemarkの集計サイト「ORB」(Online Result Browser)でのみ確認できる。 |
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Advanced Edition |
39.95ドル | すべてのテスト項目を実行でき、さらにテスト項目のカスタマイズもできる上級者向けエディション。ストレージのテストは任意のドライブを指定できる。テストの結果はその場で確認できるため、インターネット接続の確保が不要。 |
Professional Edition |
995ドル | テスト項目のカスタマイズ等はAdvanced Editionと同じだが、コマンドラインからの起動でバッチテストも可能。商用利用が許可されていたり、優先してサポートを受けられるというメリットもある。ラボやメーカー向けのエディションだ。 |
Advanced以上になると、低スペックPC向けのテストやクリエイティブ系作業における性能評価テストが可能になる。一方Basic Editionでは、ごく標準的な用途・負荷におけるPCの総合性能を比較するためのスコアを計測する。特に理由がなければBasic Editionだけで十分だ。前作に当たる「PCMark Vantage」と違い、無料のままで何回でもテストできるため、気楽に挑戦できるのはありがたい。
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