ヤマハ試聴室で体験した、ネットワークオーディオ
NP-S2000が切り拓く、高音質再生の地平 (3/5)
2010年12月02日 11時00分更新
ネットワークオーディオの本質を聴かせる
それでは本題となるNP-S2000の話に移ろう。
ヤマハはこのNP-S2000に先だって、「CD-S2000」(価格17万6400円)など複数のSACDプレーヤーを商品化している。使用パーツや設計思想に関して共通する要素が多く、比較すれば、CDプレーヤーとネットワークオーディオの特徴の違いを知る上で発見がありそうだ。導入を検討しているユーザーにとっても大きな関心事だろう。
単純に価格だけ比較すると、NP-S2000はこのCD-S2000を上回る20万8950円となる。一方でサイズは、高さが低く、スリム&コンパクト。明るいシルバーの筺体には、フロント部に1行表示のディスプレーと操作用のダイヤルなど、ごく限られた部材だけが置かれており、ミニマムで洗練された印象のデザインだ。手に取るとズッシリと重く、高級機らしい重厚さも兼ね備えている。
ネットワークプレーヤーの利点は、多彩な対応形式。本機でも扱える音源ソースはMP3やAAC、WMAといった非可逆圧縮(ロッシー)のファイルからFLACのような可逆圧縮(ロスレス)まで幅広い。
DLNA 1,5のガイドラインに準拠しているため、Appleロスレス形式などはサポート外だが、ネットの高音質配信では、FLAC形式(大抵はCDの16bit/44.1kHzを上回る、24bit/96kHz以上のデータ)が主流となっている。タイトル数もゆっくりではあるが、海外レーベルを中心に着実に増加しており、高音質音源を入手する環境は少しずつ整いつつある。
光ディスクの読み取りで必須となる駆動部分(回転系とサーボ)を省ける点も大きな特徴だ。高速に回転するディスクの風切り音やそれに伴う振動、電気的なノイズといった悪影響をトコトン排除できる。TCP/IPのエラー訂正は、読み直しが利かないCDよりも信頼性が高く、ジッター(クロックが不均一になることによる信号の揺らぎ)の発生による音質低下も大きく抑制できる。
これらはネットワークオーディオに共通した利点だ。
取材対応してくれたヤマハエレクトロ二クスマーケティング株式会社 企画・広報室 企画担当 マネージャーの安井信二氏は「NP-S2000の開発に当たって、設計者はネットワークオーディオが持つこうした特徴を極限まで追い求めた」と話す。
この言葉が真実なら、大変期待できる製品となるはずだ。
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