鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第19回
HiFiオーディオクオリティーのネットプレーヤー
ヤマハ「NP-S2000」が本格ネットオーディオ時代を切り開く!
2010年10月20日 12時00分更新
今回紹介するヤマハの「NP-S2000」(11月発売予定)は、ネットワークプレーヤー機能を単体でコンポーネント化したものだ。価格は、希望小売価格で20万8950円と一般的なオーディオ機器としてはかなり高価な部類に入るが、家庭内のネットワークを使ったオーディオ再生が注目を集めている昨今、かなり気になるデバイスだ。
今や、音楽ソフトの提供方式が、音楽CDから「iTunes Store」のような音楽配信サービスへと主流が移りつつあり、こうした音楽データの再生はCDプレーヤーのようなオーディオコンポーネントではなく、PCあるいは「iPod」のようなポータブルプレーヤーが主役だ。
ここでちょっと困ってしまうのが、音楽ソフトをCDで購入し、CDプレーヤーで高品位なサウンドで聴きたい、という旧来からのオーディオマニア。現状ではCDタイトルの発売がなくなっているわけではなく、これまでの鑑賞スタイルで音楽を楽しめる。
それでも、PCやNAS(ネットワークHDD)を使い、CDの音源をそのままHDDに貯め込み、ディスク交換の手間なしで聴きたい曲を自在に再生できる便利さは一度使うと止められない魅力がある。
ここで問題になるのが「音質」。AV再生が主要な用途のひとつになっている現在のPCも、その音質は以前に比べればかなり良くはなっているが、それなりの価格とグレードの専用プレーヤーに比べればどうしても差が出てしまう。
それに、オーディオ用コンポと同じ電源タップにPCのACアダプターを差してみるなど、試してみればすぐにわかるが、PCの発する高周波ノイズは電源を通じてオーディオ機器に混入し、音質に悪影響を与えることがある。高性能な(発熱量の高いデバイスの載った)PCなら、ファンノイズなどの騒音もオーディオ鑑賞には気になる。
だから、昔からのオーディオマニアは、オーディオコンポを設置した部屋にPCを置くことを嫌っていたし、PCをオーディオプレーヤーとして使うことなどナンセンスだと感じている人も少なくないだろう。
そうした問題を解決するのが、ネットワーク経由でのオーディオ再生。PCやNASは、リビングなどにあるオーディオ機器とは物理的に遠い個室などに置いておき、CDのリッピングや管理などはそちらで行なう。オーディオ機器のある部屋ではネットワークを通じて、HDDやNASに保存された楽曲データだけを受け取り、オーディオ機器で高品位に再生できる。
これならば、パソコンの発する騒音や高周波ノイズの影響を最小限にして、数百枚のCDもディスク交換なしで手軽に再生できる利便性も手に入るというわけだ。
この動きは、英国の高級オーディオメーカー「LINN」が積極的で、「DS」シリーズと呼ばれる数百万円もするネットワークプレーヤーをはじめ、最近では数十万円のモデルなども投入している。国内では、AVアンプなどの高級機種が同様のネットワークプレーヤー機能を搭載することが増えている。また、「プレイステーション 3」も同様のネットワークプレーヤーとして使うことが可能だ。
というわけで、今回はこれからのHiFiオーディオのスタイルを変えかねないNP-S2000の実力をじっくりと確かめてみたいと思う。
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