3Dの付加価値で、価格下落に歯止め
実際、3Dテレビの投入によって、パナソニックのテレビ事業にも変化が見られている。
4月~6月において、同社が販売した50V型以上のプラズマテレビのうち、約4割が3Dテレビだという。また、3Dテレビは大画面化を促進することにもつながっており、50V型以上のうち、54~65V型の構成比は、年末商戦ではわずか7%だったものが、今年の夏商戦では39%にまで拡大しているという。
「3Dは、臨場感が強く感じられる超大画面テレビが支持される傾向にある。これは3Dならではの現象」とし、「50V型以上のプラズマテレビ全体では、第1四半期実績で、前年同期比2倍の販売台数になっているが、これも3D効果によるものだ」とする。3D化が、さらなる大画面化を促進しているのは間違いなさそうだ。
また、「3Dテレビは、2Dの映像表現に関しても優れている」とし、その点からも、3Dテレビを訴求していきたいとする。
一般的に大画面テレビの価格下落の進展は激しいが、パナソニックでは3Dテレビの構成比が高まることで、価格下落分を吸収し、平均単価は前年並みで推移しているという。
ユーザーの顔が見える、系列店での販売率も高い
もうひとつ興味深いのが、パナソニックの3Dテレビの場合、スーパーパナソニックショップ(SPS)をはじめとする地域系列店での販売が、売れ行き好調の原動力となっている点だ。
50型以上のテレビの場合、量販店では3Dテレビの構成比は30%強。これが系列店では約50%が3Dテレビだという。
また、3Dテレビの全販売台数の約4割が系列店によるものという結果もでている。一般的な製品における系列店販売比率が約3割となっていることに比較すると、1割程度構成比が高いことがわかる。
「高付加価値製品は、発売当初の段階には系列店での販売が先行することが多い。3Dテレビにおいても、同様の傾向が出ている」という。
3Dテレビの対象顧客をリストアップすることができる系列店だからこそ、3Dテレビの販売でも高い構成比となり、ひいては、パナソニックの3Dテレビの販足の良さを下支えする結果となっている。
今後は、40型台のラインアップが強化されることで、量販店での販売比率が増加することになろう。
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