2011年のIT業界のトピックスを捉えたとき、“ビッグデータ”時代の到来は避けては通れない出来事だろう。ビッグデータとは、その言葉通り、まさに大量のデータが利用される時代のことを指す。そのデータ量は、我々の想像を上回る勢いで拡大している。
情報爆発の時代が到来
IBMによると、この2年間に生成されたデータは、これまでに人類が生成してきたデータ量の90%を占める量に達しているとする。また、EMCとIDCによると、2007年から2011年までの間にデジタルデータの量は約10倍に膨れ上がっているというデータもある。
では、なぜこれほどまでにデータが増えているのだろうか。
1つは、インターネットに接続する端末の数が増加している点だ。
2011年にインターネットに接続されている機器は、全世界で40億台に達するといわれる。サーバーやストレージ、PCやタブレット端末、スマートフォン、ゲーム専用機などのほか、薄型テレビやデジタルカメラ、白物家電でもネット接続が可能になっている。ソニーでは、同社製薄型テレビの15%がすでにインターネットに接続していると語り、来年には30%にまでこれを引き上げる計画だ。
2つ目は、ソーシャルメディアの利用増大だ。
現在、ソーシャルメディアの利用者数は全世界で17億人に達しており、なかでもTwitterでは一日あたり2億件ものつぶやきがあるといわれる。また、Facebookには毎月75億枚の写真が投稿され、利用者は月平均4時間をFacebookに費やしているという。そして、動画共有サイトのYouTubeには毎分48時間分の動画が投稿されている。
このように、全世界の個人ユーザーが、大量にデータを発信する状況がビッグデータ時代を支えることになる。
3つ目は、機械からの情報発信の拡大だ。人からの情報発信の拡大がソーシャルメディアだとすれば、機械からの情報発信には、センサー情報などが含まれる。
センサーによる情報としては、気象データなどがあげられるが、自動車や人などの交通量情報や、農業分野における土質データ、洪水対策などで活用される水量センサーなどが、あらゆる場面において、センサーによって収集された情報が、今後、増加することになる。これらの情報がリアルタイムに大量に発信され、それをもとにした分析、予測が行われるというわけだ。センサー情報は、数値データだけに留まらず、画像データのやりとりも行われることになる。
2011年に生成されたデータ量は、実に1.8ゼタバイトに達したと言われる。
ゼタとは、10の21乗という単位だ。
エンドユーザーが利用するPCやBDレコーダーには、テラバイトのハードディスクが搭載されているが、ゼタは、テラの10億倍という規模。1.8ゼタとは、2000億を超えるHDムービーが収録可能で、これは1人が24時間365日見続けても、すべてのムービーをみるには、約4700万年かかる計算。また、32GBのiPodに保存するには575億個が必要であり、これを積み上げると富士山の25倍の高さの山になるという。
そして、データが増加する勢いはこれからも止まらない。試算によると、2020年には、データ量が50倍となり、必要とされるサーバーは現在の10倍、蓄積されるファイル数は75倍に増えるという。
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