テレビ事業は課題だが、3年ぶりの黒字決算を目指す
ソニーは、売上高が前年比8%減の7兆2140億円、営業利益は318億円の黒字に転換。税引前利益は269億円の黒字、当期純損失は581億円改善したものの、408億円の最終赤字となった。
営業利益では当初600億円の損失を見込んでいたが、それを300億円の損失へと修正。最終的には黒字転換させた。
事業構造改革によるコスト削減が予想以上に進んだこと、サプライチェーンの見直しが進んだことなどが、その背景にあり、「3300億円の削減目標に対しては、それ以上を削減。拠点の統廃合は予定以上に進捗した」(ソニー・大根田伸行副社長)という。
だが、依然としてテレビ事業は赤字のまま。収益は改善傾向にあるというが、第1四半期の赤字を埋めきれていない。2010年度はテレビ事業の黒字化が必達目標となる。
「液晶テレビの販売計画は、2009年度の全世界1560万台から、1000万台引き上げて2500万台とする。2009年度はシェアを4ポイント程度落として10%となったが、このシェアを2008年度レベルに引き上げれば、1億8000万台という市場規模から逆算して、無理な目標ではない。継続的なコスト削減、3Dテレビの販売や、ネットワークを通じた新たなビジネスによって、拡大を図る」とする。
2010年度の連結業績は、売上高が5%増の7兆6000億円、営業利益が1600億円、税引前利益が1400億円、当期純利益が500億円を見込んでおり、3年ぶりの最終黒字転換を見込んでいる。
テレビ事業は黒字、市場で存在感を見せたPC事業だが
東芝は、売上高が前年比4%減の6兆3815億円、営業利益が3674億円改善し、1171億円と黒字転換。税引前利益は3043億円改善の250億円、当期純損失は3239億円改善となったものの、197億円の赤字となった。
固定費の削減効果などにより、全セグメントで営業損益を改善。半導体事業の黒字転換や、社会インフラ事業が5.9%と高い営業利益率を達成したことなどが増益の要因となった。
テレビ事業が黒字化を維持し続けている一方で、パソコン事業は、販売台数が増加したものの、売価ダウンや原材料費の上昇などの影響により減収。さらに営業赤字となった。
東芝の佐々木則夫社長は、「2009年度は、全体的にみて、成長に向けた着実な事業基盤を確保でき、2010年度からの中期経営計画では、利益ある持続的成長へ再発進することができる。2012年度にはグローバルトップの複合電機メーカーを目指す」とした。
2010年度はテレビの販売台数で1500万台(2009年度は1000万台超え)、パソコンでは2500万台(2009年度は1500万台)とする。2010年度中にそれぞれ約40モデルの新製品を発表する計画だ。
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