10月6日、メッセージラボジャパンはインターネット上のサーバでウイルス/スパムメール駆除を行なう「ホステッドメールセキュリティ」、「ホステッドWebセキュリティ」において、管理サイトの日本語化や国内SMBパートナーとの連携、日本語ヘルプデスクの準備など国内のSMB市場向けサービスを強化したと発表した。
シマンテックのメールセキュリティSaas部隊
メッセージラボは英国のISPとして誕生した企業で、後にセキュリティサービス専門となり、2008年にシマンテックが買収。現在は「シマンテックホステッドサービスグループ」という位置づけで、米シマンテックの100%子会社となっている。日本法人は2007年に設立されており、現在はシマンテック日本法人社長の加賀山進氏がメッセージラボジャパンの社長も兼任している。
メッセージラボの主力である「ホステッドメールセキュリティ」は、同社のサーバでウイルスやスパムの検出を行なうサービス。ユーザー側にウイルス/スパム対策製品を導入する必要がなく、MXレコードを書き換えて同社のサーバにメールが届くようにするだけで利用が可能となる。同様に、「ホステッドWebセキュリティ」は、メッセージラボのサーバ上でウイルス/スパイウェアの検出とURLフィルタリングを行なうサービス。こちらも機器の導入等は不要で、プロキシの設定を変更するだけで利用できる。
SMB市場へのてこ入れ施策を明らかに
メッセージラボジャパンのカントリーマネージャである山本誠治氏によれば、かつてのウイルス対策ソリューションはソフトウェアをユーザー企業内に導入して使うものであり、インターネット上にスキャンシステムをおいたのは同社が世界初だという。どちらも導入が手軽で運用の手間もかからないなど、専任の管理者が不在のSMBに適したサービスとなっている。そのため、海外においては従業員数が10~500名のSMB市場において大きなシェアを持っている。
ところがこれまで国内市場では、従業員数3万人の鹿島建設を筆頭に大企業での導入が多く、1社あたりの平均ユーザー数は1000名となる。 こうした状況を打開し、国内でのSMB市場開拓のために始めたのが、
- 価格競争力
- SMBパートナー
- セールス&マーケティング体制
- 日本語によるテクニカルサポート(ヘルプデスク)
- 運用のしやすさ
の5点だ。
価格競争力としては、スパムメール数やウイルス数に関係なく費用が固定であること、アプライアンスやサーバの導入が不要で初期費用がほとんどかからないこと、資産を持たない事などが挙げられる。1ユーザーあたりの料金も月額300円程度とのことで、ITコストをかけられないSMBにはうれしい価格設定といえるだろう。
販売を依頼するパートナーについては、これまで大企業をメインにしてきたメッセージラボにとって、SMBに強いパートナーが少ない。そこで目をつけたのが、親会社であるシマンテックだ。幅広い規模の顧客を有するシマンテックであれば、SMB向けのパートナーも充実している。買収によって生じたシナジー効果のよい例だろう。現在交渉中で、社名や件数は非公開だが、今年中に何社か決定しそうな状況だ。
セールス&マーケティング体制では、SMB向けのセールスとマーケティングの担当者を採用した。また、テクニカルサポートに関しても、国内と海外拠点(アジアパシフィックエリア)において日本語のわかるヘルプデスクを採用しており、顧客やパートナーへの対応にあたる。これは、パートナーから日本語によるサポートが必要と指摘されたことによるという。
最後が運用のしやすさで、これはシステム管理者用ポータルサイトの日本語化となる。これまでのような大企業が対象であれば、管理システムが英語であっても問題にはならなかった。しかし、SMBでは英語に対する障壁が大きいため、日本語化を行なった。この際も、シマンテック日本法人のローカリゼーションチームによって作業が行なわれたという。
これらの取り組みにより、同社では1年間で200社程度の顧客獲得を目指すとしている。