まずはデスクトップPCで検証
最初に、デスクトップPCで検証を行なうことにした。テスト環境は以下に示したとおりだ。比較用に通常のDDR3 DIMMを用意し、1GB×2と2GB×2のそれぞれについて、OS起動後放置した状態(アイドル時)と、TMPGEnc 4.0 XPressを利用してHD動画のエンコードを行なわせた際の最大消費電力(高負荷時)のシステム全体の消費電力をワットチェッカーを利用して計測した。
テスト環境 | |
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CPU | インテル「Core i7-920」(2.66GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「GA-EX58-EXTREME」 |
メモリー | DDR3-1333 1GB×2または2GB×2 |
ビデオカード | ATI Radeon HD 4670(メモリ512MB) |
HDD | Western Digital「WDF10EADS」(1TB Serial ATA) |
OS | Windows Vista Ultimate SP2(32bit) |
グラフィックドライバ | ATI Catalyst 9.8 |
今回の検証で利用したマザーボードはBIOS設定画面で、メモリ電圧を自由に変更できるので、通常のDDR3 DIMMの場合はデフォルト設定(Auto)、GeILの低電圧DDR3 DIMMの場合は、手動で1.300Vに設定した。なお、Auto設定ではGeILの低電圧DDR3 DIMMを装着しても、メモリ電圧が変わっていないようだったので、CPU-Zを利用してSPD情報を確認してみたところ、SPDに書かれている電圧は1.5Vのままであった。したがって、GeILの低電圧仕様のDDR3 DIMMを利用する場合は、明示的に電圧を1.3Vに設定する必要がある。
消費電力は2~3W減少
デスクトップPCでの低電圧DDR3メモリの検証結果は、以下に示した通りだ。まず、1GB×2の状態で比較すると、アイドル時のシステム全体の消費電力は、通常のDDR3メモリ装着時が106Wだったのに対し、低電圧DDR3メモリ装着時は103Wと3Wほど消費電力が減少している。同様に高負荷時の消費電力は、通常のDDR3メモリ装着時が196W、低電圧DDRメモリ装着時が194Wで、2W減少している。消費電力の差はそれほど大きくはないが、計測値自体は安定しており、確かに差がある。通常のデスクトップPCの場合、システム全体の消費電力に占めるメモリの消費電力はせいぜい1~2割程度なので、この結果は妥当といえるだろう(1割だとしたら、1.3V動作の低電圧メモリを装着した場合、1割の25%減で消費電力は2.5%減少する計算になる)。ただし、2GB×2の状態の比較では、アイドル時、高負荷時とも、消費電力は1Wしか違わなかった。
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