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デジタルなオフィス! 第3回

これで決着!?どっちを使う?

Googleドキュメント対Microsoft Office

2009年07月17日 09時00分更新

文● 松本淳 絵●橘りた

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 クマさんとのガチバトルに突入せずにホッとしている山本君はさておき、クラウド型サービスのGoogleドキュメントとMicrosoft Officeをどんな風に使い分けるのか、HAL子さんの解説を聞いてみましょう。


オランダ

1993年の登場以来、ライバルとの競争に勝ち抜きオフィススイートのデファクトとなった、Microsoft Office。様々な企業ニーズを吸収して培われた機能の高さと、ファイル資産との互換性は、現状のGoogleドキュメントの及ぶところではありません。いくつか例を挙げます。

VBAマクロの再現性
マクロを正しく動作させるにはMicrosoft Officeが無難です。見積書と請求書を連携させているケースや、Exchange Serverなどの社内データベースに入力値が自動的に反映されるようなマクロが用意されている場合は、クラウド型のサービスにそのまま置き換えるのは難しいと言えるでしょう
レイアウト・印刷の精度
プリンタドライバとの相性も大きく影響するこの分野でも、Microsoft Officeにアドバンテージがあります。現状のGoogleドキュメントでは、たとえ一度Microsoft Officeのフォーマットにエクスポートしてもレイアウトやフォントが乱れるケースがあります
グラフィカルオブジェクトの配置
PowerPointのような図形描画や配置も、まだWebアプリ全般が追いついていない分野です。新しいWeb記述形式「HTML5」をサポートするブラウザーと、Webアプリの対応をまだ待たなければならない部分でもあります
オフラインでの編集
Google GearsやHTML5でのオフライン機能は進歩しつつありますが、元々オフラインでの動作を前提に設計されたMicrosoft Officeに軍配が上がります

オランダ

クマさん: 「ほら見ろ山本。まだまだGoogleなんとかなんて、仕事ではお呼びじゃないんだよ」


オランダ

山本くん: 「Googleドキュメントです。でも、無料ですよ。それにみんなで同時に編集したりするのに便利なんですってば」


オランダ

HAL子さん: 「確かに。ファイルのバケツリレーは効率が悪いですから、それは避けましょう」


オランダ

春美ちゃん: 「バケツリレー??」


 契約書や企画書などを、メールに添付して「みなさんでレビューお願いします」といった連絡をしていませんか? 順番に前の人のコメントを受けてフィードバックが戻ってくれば良いのですが、複数の人が同じところに違う言い回しでコメントをしてきたり、戻ってきたどのファイルが最新・最終のものか分からなくなったりということになりがちです。

 HAL子さんに言わせれば、これらはすべて「生産性ダウン・効率ダウンを招く大敵」ということになります。こうした共同編集を行なう際、特にレビュー作業でGoogleドキュメントは威力を発揮します。

共同作業の履歴が保存されている
WordやExcelにも履歴の管理機能が用意されていますが、メール添付と異なり「ファイルが一カ所で管理されている」メリットを持つGoogleドキュメントは、履歴がリアルタイムで反映され、その追跡が容易です
更新結果のアラート機能が便利
誰かがGoogleドキュメントに更新を加えると、「その都度」「1日に1回まとめて」など任意の頻度で、お知らせメールを受け取ることも出来ます。これも受け手・送り手双方の手間を減らすことができるメリットの1つとも言えます
強力な検索機能を備える
ファイルが1ヵ所に集まっており、Googleの強力な検索機能と連携しているため、「ファイルの内容も含めた」検索によって、素早く目的のファイルを見つけ出すことができます

 歴史の長いMicrosoft Officeと比較すると、細かい編集やグラフィックの扱いではまだ及ばない部分も多いものの、共同編集の効率が飛躍的に上がることは、ひいては企業の競争力アップにも繋がります。したがって、書類のドラフトを共同作業で作る場合や、作成後も複数の関係者でメンテナンスを行なう各種管理表などはGoogleドキュメントが得意とする分野だと言えるでしょう。書式などをあまり付けない形で、Googleドキュメントで仕掛かりの作業を行ない、印刷などに備えた出力はMicrosoft Officeにエクスポートするというのも、お勧めの作業の流れとなります。

次ページに続く

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