世界で最も違法コピー率が低い国は、違法コピー損害額が最も高い国でもある――それは……。
世界のビジネスソフトウェア業界の継続的な成長を目指して活動するという非営利団体BSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)は12日、2008年1月~12月のコンピュータ・ソフトウェアの違法コピー状況をまとめた「第6回世界ソフトウェア違法コピー調査」の結果を発表した。
調査は、BSAの委託によってIDC(International Data Corporation)が行なったもの。調査対象は110ヵ国に上る。
日本は、違法コピー率が前年比2ポイント減の21%で、世界で2番目(前年は4番目)に低い国となった。ただし違法コピーによる損害額は、物価の違いなども反映されるため、約14億9500万ドル(約1700億円)と、世界ワースト10位(前年は8位)となる。
世界的に見ると、違法コピー率の上がった国が16ヵ国あったのに対して、低下したのは57ヵ国で、世界的に違法コピーに対する認識・予防の意識が高まったことがうかがえる。ただし、違法コピー率の上がった国では、急速にPCの出荷台数が拡大している場合が多く、全世界の平均違法コピー率は41%と、2年連続で上昇した。損害額も前年比11%増の約530億ドル(約6兆2500億円)に上る。
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関連して、BSAが設置している組織内違法コピーの情報提供窓口への通報は、2003年(178件)から年々増加し、2008年には544件となった。企業内個人のコンプライアンス意識が高まり、違法コピーを見逃さずに通報するという姿勢・理解が浸透したことが背景にあるものと思われるが、反面通報に至らず違法コピーが組織内で蔓延し続けている懸念もあるのが現状、とBSAでは分析している。
なお、冒頭の世界で最も違法コピー率が低い国、最も違法コピーの損害額が高い国などのリストは以下の通り。
■高違法コピー率上位国
- グルジア 95%
- バングラディシュ 92%
- アルメニア 92%
- ジンバブエ 92%
- スリランカ 90%
- アゼルバイジャン 90%
- モルドバ 90%
- イエメン 89%
- リビア 87%
- パキスタン 86%
- ベネズエラ 86%
■低違法コピー率上位国
- 米国 20%
- 日本 21%
- ルクセンブルグ 21%
- ニュージーランド 22%
- オーストリア 24%
- ベルギー 25%
- デンマーク 25%
- スウェーデン 25%
- スイス 25%
- オーストラリア 26%
- フィンランド 26%
■高違法コピー損害額上位10ヵ国
- 米国 9143ドル
- 中国 6677ドル
- ロシア 4215ドル
- インド 2768ドル
- フランス 2760ドル
- 英国 2181ドル
- ドイツ 2152ドル
- イタリア 1895ドル
- ブラジル 1645ドル
- 日本 1495ドル