本を書かない自由
実際のところ、パーカー氏の本の内容はあまり期待できないと思う。しかし、これがジョークではないことは、「グーグル・キラー」などと呼ばれる検索エンジンがAI(人工知能)系だったりすることが物語っている。パーカー氏によると、「恋愛小説を書くためのアルゴリズムの基本部分はすでに完成している」という。
いずれ、人は本を書かなくてもいい時代がくるのかもしれない。
追記
ブック検索に関しては、この原稿を書いている間にも『ニューヨークタイムズ』に「Justice Dept. Opens Antitrust Inquiry Into Google Books Deal」(米司法省がブック検索について反トラスト法の面から調査を開始した)という記事が掲載された。また、5月5日とされていた和解に対する参加・非参加の表明期限が、9月4日に延長されたという報道もあった。
2009年4月23日に、アスキー総研とワイアードビジョン、慶応義塾大学メディアデザイン研究学科が共催したトークセッション『グーグルの権利覇権と情報流通革命』でも、新しい情報があった。講師の福井健策弁護士によると、グーグル・ジャパンの担当者と意見交換をしたところ、同社は、米国からAmazon.comなどのネット書店を通じて入手可能な日本の本は、「絶版」の扱いにならないよう動いているとのことだ(これを書いている時点ではそうなっていないが)。
つまり、ブック検索に関してはまだ見えない部分もあるのだが、ネットや検索のテクノロジーが、これからも「本」とそれを取り巻くしくみを変えていってしまうのは確実である。