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Googleブック検索と、20万冊の本を書いた男

2009年05月02日 10時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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20万冊の本を書いた男は
なぜもこう高いのか?

 ちょうど1年ほど前の『ニューヨークタイムズ』(2008年4月14日付け)に、「He Wrote 200,000 Books (but Computers Did Some of the Work)」(20万冊の本を書いた男《コンピュータのお世話になってだが》)という記事が掲載された。当時、月刊アスキー編集部のMさんに、「こんな記事がありました」と教えてもらったときは、「冗談でしょ!」と思ったが、これがそうとも言い切れないのである。

 記事は、「本を作るのは大変だ。まず題名を決めて、表紙を作り、目次を作り、ISBNの登録をしたり、裏表紙も作らないといけない。おっと、忘れていた本の中身も書かなきゃいけなかった」なんて調子で始まっている。しかし、記事タイトルのとおり、本当に20万冊の本を書いたという人物がいる。試しに、その「Philip M. Parker」という著者名で探してみてほしい。Amazon.comでは、10万7148冊の本がズラリと並んで出てきた。

 それでは、パーカー氏は、どんな本を書いているのか? ズラリと出てきた本を眺めていくと、医療系から専門的な事典、特定分野の市場概要、クロスワードパズル辞書まである。売れているものは数百部、たいていのものが数十部は売っているとある(ほとんどがペーパーバック)。記事にも、「これは!」と思える本について何冊か触れているが、ほかにも楽しそうな本が揃っている。


『世界の木製便座 2007:都市による市場分析』
(The 2007 Report on Wood Toilet Seats: World Market Segmentation by City)
ICON Group International, Inc、ISBN-10: 0497738481

『インドの6×9フィート以下の飾り付き洗濯可能敷物とバスマット 2007~2012』
(The 2007-2012 Outlook for Tufted Washable Scatter Rugs, Bathmats and Sets That Measure 6-Feet by 9-Feet or Smaller in India)
ICON Group International, Inc、ISBN-10: 0497483726

『日本のビン入りレモン水 2007~2012』
(The 2007-2012 Outlook for Lemon-Flavored Bottled Water in Japan)
ICON Group International, Inc、ISBN-10: 0497472759


パーカー氏の著作

パーカー氏の著作『The 2007-2012 Outlook for Lemon-Flavored Bottled Water in Japan』(日本のビン入りレモン水 2007~2012)。この本を買うのは……C1000のハウスウェルネス、CCレモンのサントリー、クリスタルカイザー、ポッカなど、意外にあるかもしれません。

 いずれも、日本のアマゾンからも買えるのだが、なんと便座本は795ドル(330ページ)、インドの敷物本は495ドル(144ページ)、レモン水は495ドル(140ページ)もする。稀覯本(?)だからといって、ASUSのEeePCが買えるお値段。数十ドルの本もあるので、わたしも買ってみようとは思うのではありますが。

 Amazonのレビュー欄で問い合わせてきた読者に対して、パーカー氏は、「あなたがネットを十分に使いこなせるならこの本は不要です」と答えたそうだ。要するに、彼の本は、60~70台のコンピュータと6~7日のプログラマが開発したシステムによって、ポトン、ポトンと生み出されるものなのだ。

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