垂直磁気記録方式を採用した『Barracuda 7200.10』。最大容量は750GB |
日本シーゲイト(株)は11日、4月27日に発表された同社デスクトップパソコン用HDDの最新モデル『Barracuda 7200.10』に関する説明会を都内の本社で開催した。説明会にはコーポレートコミュニケーション 北アジア担当 マネジャーの藤森 英明氏、フィールド・アプリケーション・エンジニアリング部シニアマネジャーの佐藤 之彦氏の2名が出席し、デスクトップ用の3.5インチHDDで初となる“垂直磁気記録”を採用するほか、750GBという大容量を持つこのシリーズの今後の展望から、固有の機能の詳しい説明までを行なった。
コーポレートコミュニケーション 北アジア担当 マネジャーの藤森 英明氏 | フィールド・アプリケーション・エンジニアリング部シニアマネジャーの佐藤 之彦氏 |
最初に藤森氏が個人向けの3.5インチ製品について、2006年度の見込み出荷台数を約2億5000万台と発表した。さらに200GB以上の大容量HDD市場でのシーゲイト製品のシェアは30パーセントになると予測。これにより各社と比較してトップになると発表した。また、現状の“7200.10”シリーズのラインアップでは、200GB以上のモデルのみとなっているが、しばらくは“7200.9”シリーズも併売し、200GB未満のゾーンもカバーしていくと説明した。
2006年度の見込み出荷台数は2005年度に比べて8パーセント増加した2億5000万台 | 200GB以上の大容量帯ではシェア30パーセントでトップに立つという |
続けて佐藤氏により、製品のテクニカルな部分の説明が行なわれた。デスクトップパソコン用3.5インチHDDでは初となる“垂直磁気記録”方式を採用。『7200.10』シリーズのすべてのモデルで採用されている。従来ではプラッターに対して水平に記録していたデータを、各プラッターの垂直方向に配置することでヘッドの横移動の動作を抑え、効率化していると説明。また、垂直磁気記録方式でプラッターが高密度化したので、HDD内部のプラッター枚数が同じ容量の他社製品に比べて少なくなり、ヘッドなどの動作パーツの部品点数を減らすことができた。この結果、動作パーツの故障や熱問題などの障害が軽減されている。さらに最上位の750GBモデルでは、この技術とプラッター1枚あたり188GBという大容量プラッターの搭載により、従来モデルに比べてデータ転送速度が最大10パーセント向上している。
プラッターに対して、水平に記録していた従来と比べ、垂直方向に読み書きすることで、ヘッドの動作によるロスを減らしている | 垂直磁気記録方式と188GBの大容量プラッターでデータ転送速度が最大10パーセントアップする |
そのほか“Adaptive Fly Height”、“Clean Sweep”といった機能を紹介。“Adaptive Fly Height”機能は、フライングハイト(ディスクヘッドとプラッター間の距離)の自動調節機能。プラッターやHDD内部の温度をリアルタイムで計測し、ヘッド自体が高さをコントロールする。“Clean Sweep”機能は、電源オン時にヘッドがプラッター全域にわたって表面検査とキャリブレーションを実施し、メディア表面の均一性と安全性をチェックする機能だ。チェックは15秒ほどで終了するという。
“Adaptive Fly Height”と“Clean Sweep”といった固有の機能を持つ |
“7200.10”シリーズの容量ラインアップは200GBモデルから750GBモデルまでの6種類で、ディスク回転数はすべて毎分7200回転。このうち200GB、250GBモデルは8MBのキャッシュを搭載、250GB、320GB、400GB、500GB、750GBでは16MBのキャッシュを搭載する。さらに3Gbpsに対応したシリアルATA II、IDEの両方のモデルを用意し、全部で14モデルとなる。
ラインアップは全部で14モデル。250GBでは8MBキャッシュと16MBキャッシュのモデルが混在する |