アルプス システム インテグレーション(株)(略称:ALSI(アルシー))、トレンドマイクロ(株)、ネットスター(株)の3社は30日、都内で記者説明会を開催し、“インターネットアクセスマネジメント”戦略と、それに基づく製品を発売すると発表した。
トレンドマイクロ代表取締役副社長の渡部敏弘氏(左)とALSI代表取締役社長の大喜多晃氏(右) |
ネットスター代表取締役社長の小河原昇氏 |
ネットスター(※1)は、ALSIとトレンドマイクロが出資して4月2日に設立した企業で、URLフィルタリング(※2)ソフト開発と、ウェブサイト関連のデータベース構築を行なっている。また、ALSIはこれまで、9000以上の学校・教育機関向けに、インターネットを利用する児童生徒の有害情報対策として、URLフィルタリング製品を提供してきた実績を持つ。一方、トレンドマイクロはアンチウイルス製品を企業向けに多数提供してきた。
※1 ネットスター:資本金8000万円。本社は東京都大田区。出資比率はALSIが60%、トレンドマイクロが40%。代表取締役社長の小河原昇氏はALSIの常務取締役を兼ねる)。※2 URLフィルタリング:ウェブサイトを内容によって分類してデータベース化し、ウェブブラウザーでアクセスしたときに、設定によって開けないようにするなどの制限をかけるもの。事前に登録した問題のあるサイトをデータベース化する“ブラックリスト方式”、アクセスして良いサイトをデータベース化する“ホワイトリスト方式”、キーワードを設定して、そのキーワードがページ内に含まれるかどうかを基準としてフィルタリングする“言語検索方式”などがある。
今回3社が発表したインターネットアクセスマネジメント(IAM)戦略とは、インターネットの社会への浸透が進み、学校や企業でも基本的インフラとして普及する中で発生する社会的問題に対処するため、URL/メールフィルタリングとウイルス対策を兼ねる製品やURLデータベースを、国内の教育、企業市場、および海外に展開していくというもの。
インターネットアクセスマネジメントの考え方 |
説明会では、ここでいう社会的問題として、児童・生徒の有害情報サイトへのアクセス、企業での私的なインターネット利用による生産性低下、国々の法規制の違いを利用した違法行為などを紹介した。こうした問題はマスコミで大きく取り上げられることは少ないが、増加傾向にあり、表面化しつつあるとしている。
IAMにおいては、ネットスターが中心となって、ALSIとトレンドマイクロの製品ノウハウを集約したフィルタリングソフト製品の開発と、ALSIの持つURL収集ノウハウを使ったURLデータベース事業の展開を進める。URLデータベース事業は、国内だけでなく、トレンドマイクロが持つ海外拠点を利用して、世界各国の事情にあったデータベースを構築する。ALSIはネットスターからフィルタリングソフトとURLデータベースの提供を受けて、主に国内の学校・教育機関市場向けの製品の開発と販売を行なう。トレンドマイクロも同様にフィルタリングソフトとURLデータベースの提供を受けるが、主なターゲットは国内では企業、官公庁、サービスプロバイダー市場となる。さらにトレンドマイクロは、海外拠点を使って世界市場でも製品の販売を行なう。
また、ネットスターが開発したフィルタリングソフトとURLデータベースは、ALSIとトレンドマイクロ以外の企業にもOEM供給する考えで、現時点では名前は明らかにしなかったが、「国内外の数社から引合いがある」(ネットスター、セールスマーケティング部長の杉本氏)という。
トレンドマイクロが開発中のWebManagerの、フィルタリング設定画面 |
フィルタリングによって、アクセスが拒否された場合の画面サンプル |
このIAM戦略に基づいて、ALSIが販売する製品は学校・教育機関向けのフィルタリング/コミュニケーションソフト『InterSafe』で、コンテンツフィルタリング、メールフィルタリング機能と、プロキシー機能、掲示板やチャットなどのコミュニティー機能を備える。価格は11万8000円から(Ver.2.0。ライセンス形態により異なる)で提供中、さらにVer.3.0として、Windows 2000対応版を8月中旬、Linux/Solaris対応版を9月上旬に発売予定。トレンドマイクロは、企業の情報システム部門やISP向けに、ユーザーカスタマイズ可能なURLフィルタリング機能、時間帯別ポリシー変更機能、プロキシー機能、ログ機能などを備えた『InterScan WebManager』を開発中で、ISP向けのLinux/Solaris対応版を7月上旬、企業向けのLinux/Solaris対応版を8月中旬、企業向けのWindows 2000対応版を12月中旬に発売予定としている。価格は未定だが、170万円程度(1年間。1000ユーザー)としている。
3社の今後の製品ロードマップ |
3社は、それぞれ強みを持つ分野に集中し、互いに協力して事業展開を行なうことで、次々登場する有害コンテンツ/ウイルスに対してIAM事業が必要なスピードを稼ぐ考えだ。